こんにちは。服部葬儀社 相談員の横尾です。

人生の最後を、自分自身が希望する形で迎えることや、残された家族に迷惑をかけないこと等を目的として行う「終活」。終活によってメリットが得られることはわかっていても、なんとなく面倒な気がして、つい先延ばしにしている人もいるのではないでしょうか。

今回は終活の内容やメリット、遺言書の作成方法などについて詳しくご紹介します。

終活とは?終活の内容や行う目的

終活は、人生を終えるにあたって必要となる活動や、今後の人生をより良く生きるために行う活動です。 具体的な内容は、延命治療・介護・お葬式・納骨などについての決定や遺言書の作成など、多岐にわたります。「そういうことは家族にまかせるから、自分に終活は必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、本人の意思がわからないと家族も対応に困り、負担が大きくなってしまいますし、自分自身が希望する形で最後を迎えることができない可能性があります。

例えば、延命治療についてご自身は必要ないと思っていても、それを伝えずに意思表示が難しい状況になってしまった場合、家族が判断に困るだけでなく、ご自身の意思に反する選択をされてしまう可能性があります。

大切な人が病気になったり亡くなったりすることは、ただでさえ悲しみ深いことですが、本人の意思がわからずに家族が判断しなければいけないとなると、更に精神的負担が大きくなってしまいます。家族の負担を減らすためには、終活を行うことが有効といえるでしょう。

終活のメリット

終活を行うことで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは終活のメリットをご紹介します。

メリット1 自分自身の希望に添った最期を迎えられる

終活を行い人生の最期についての希望を明確にした上で、それを家族に伝えることで、希望に添った最期を迎えることができる可能性が高くなります。そのためには、介護や延命治療が必要となった時の対応や、お葬式や納骨の方法を決定し、家族にわかりやすい形にまとめておくことが大切です。

メリット2 家族の不安や負担を軽減することができる

介護や延命治療、お葬式などに関する希望を事前に伝えておくことで、家族の不安を軽減することができます。また、不要な物を処分したり相続財産をわかりやすくまとめたりすることは、万が一の時に家族にかかる負担を減らすことにつながります。

メリット3 より充実した人生を歩むきっかけを作ることができる

終活をきっかけとして、今後の人生をより充実したものにすることも可能です。これまでの人生を振り返るということは、やり残していることに気づいたり、やっておきたいことを思いついたりするきっかけになる場合があります。

終活では何をすれば良いの?

終活ではどんなことをすれば良いのでしょうか?ここでは終活の内容についてリストにしてご紹介します。

終活リスト

□ 家族・親戚・友人・知人の名簿を作成する
名前・住所・連絡先・間柄などを記載した名簿を作成し、万が一の時に「連絡を入れる必要がある人」と「連絡を入れる必要が無い人」がわかるようにしておくと良いでしょう。

□ 不用品を処分する
亡くなった後に遺品整理をする家族の負担を軽減するために、不用品は処分しておきましょう。ただし、思い出の品や写真など、買い直せないものを処分してしまうと取り返しがつきませんので、十分に検討する必要があります。「迷ったものは1年後に見直す」「写真は残す基準を決める」など、自分が納得できるルールに従って処分するという方法もあります。

□ 預貯金や生命保険などの資産を一覧にする
銀行口座・生命保険・不動産・有価証券・負債など、資産をまとめて一覧にしておきましょう。「不動産」「負債」などと聞くと、「自分には無縁」と思うかもしれませんが、自宅を所有していれば「不動産」ですし、住宅や車のローンは「負債」ですから、多くの人にとって無関係ではありません。

□ 医療や介護の希望をまとめる
臓器や角膜の提供・延命治療・介護などについて希望することをまとめます。急に倒れて意識が戻らないなど、意思を伝えられない状況になってしまうと、決断を迫られることになる家族の精神的な負担が大きくなってしまいますので、早めにまとめておくことをおすすめします。

□ 葬儀の規模や形式を決める
近年ではお葬式の形が多様化し、選択肢が増えています。「友人や知人にも見送ってほしい」「家族だけの小規模なお葬式が良い」など、お葬式に対する希望をまとめておくと良いでしょう。お葬式の知識が無く、希望もわからないという場合は、葬儀社の事前相談を利用することで、葬儀のイメージがしやすくなります。また、お葬式をしなければいけないという時になってから遺影写真を選ぶことは、家族にとって負担となる場合がありますので、事前に写真を決めておくことも終活の一環といえるでしょう。

□ 遺言書を作成する
一般的な遺言は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言に大別されます。遺言書の作成方法など、詳しくは後述します。

□ 遺骨の供養方法を決める
かつてはお墓に納骨することが一般的な供養方法でしたが、現在では納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養など様々な選択肢があります。それぞれの納骨方法におけるメリット・デメリットを把握し、お墓を受け継ぐ継承者の立場に配慮して、供養方法を検討すると良いでしょう。

□ 住居について見直す
現在は不便なく暮らせているご自宅も、歳を重ねるとともにさまざまな理由(広すぎる・段差が多い・近隣にスーパーが無いなど)で不便を感じるようになる可能性もあります。リフォームや引っ越しの必要性を検討し、早めに準備しておくことが安心につながります。

□ 今後の人生を考える
より豊かな人生を送るために、やりたいことややり残していることを確認しましょう。習い事や旅行など趣味に関わることや、家族・親戚・友人との関係性、ボランティアなどのライフワークなど、興味や意欲をもって取り組めそうなことを考えてみると良いでしょう。

遺言書の作成について

終活の中でもハードルが高く感じる「遺言書の作成」。「お金持ちが作るものでしょう?」と思う人もいるかもしれませんが、財産がゼロという人は少数ですから、多くの方にとって無関係とはいえません。「誰に」「どれだけ」財産を遺すのか明確にしておくことで、遺された家族が揉めることなく、スムーズに相続できるというメリットもあります。

遺言書の種類とは

遺言書は「普通方式遺言」と「特別方式遺言」に大別されます。一般的に作成される遺言書は「普通方式遺言」で、普通方式遺言には「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があります。ここでは3種類の遺言についてご説明します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、自分自身の手書きで作成する遺言書です。遺言内容の他に、作成した日付・署名・押印が必要となります。

自筆証書遺言を作成するメリット

思い立った時にすぐ作成することができ、費用や作成期間が不要です。また、遺言の内容を他者に知られることなく作成することができます。

自筆証書遺言を作成するデメリット

自作の遺言なので、必要事項を記入し忘れる等のミスをしてしまうと、遺言書が無効となる場合があります。また、遺言書を作成したことを家族に伝えていなかったり、家族が見つけられなかったりした場合、発見されずに無効となってしまう可能性があります。

自筆証書遺言の作成方法

①必要な物を準備する
筆記用具、用紙、印鑑を準備します。筆記用具や用紙に定めはありませんが、鉛筆やシャープペンシルなど消えやすい物は避けた方が良いでしょう。

②遺言を書く
日付、署名、内容を全て自筆で書きます。ただし財産の内容を表す財産目録(詳しくは後述します)については、パソコンで作成したものや代筆したものも認められています。日付は「◯年◯月◯日」と明記し、「吉日」などの曖昧な表現は避けます。過去に「◯年◯月吉日」と記入してしまい、遺言書が無効となってしまったケースがありますので注意が必要です。

③財産目録を作成する
財産目録とは、現金・預貯金・不動産・有価証券など、所有している財産の一覧です。財産が把握できていなければ、遺言書を書く前に作成すると良いでしょう。自筆証書遺言に財産目録がついていないからといって、遺言が無効になるようなことはありませんが、相続人が被相続人(財産を遺す人)の所有財産を全て把握することが困難な場合もあるため、用意しておくことをおすすめします。

④押印する
押印のない遺言書は無効となってしまうので、忘れないよう注意しましょう。印鑑の種類について、認印や拇印でも問題ないと言及しているサイト等もありますが、実印を使用することで遺言書としての信頼度は高まることが考えられます。

⑤保管する
自筆証書遺言は自宅で保管することが可能ですが、紛失や破損、破棄や改ざんなどのリスクがあります。そのようなリスクを回避するためには、法務局に保管を依頼すると良いでしょう。それにより、遺言書の紛失や破損を防ぐことができるだけでなく、必要事項の記載漏れによって遺言書が無効になることを防ぐことが可能です。

公正証書遺言

公正証書遺言は、法務省が管轄する公証役場に在籍する公証人(法律専門家)に、作成と保管を依頼する遺言書です。

公正証書遺言を作成するメリット

紛失や偽造の恐れが無く、法的に正しい遺言書を確実に遺すことができます。自筆証書遺言と違い、自筆で作成する必要がないので、執筆が困難な方でも作成することができます。

公正証書遺言を作成するデメリット

費用と作成期間がかかるので、自筆証書遺言のように簡単に作成することはできません。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言書を自身で作成し、保管を公証役場に依頼する遺言です。

秘密証書遺言を作成するメリット

遺言の内容を人に知られることなく、確実に保管してもらうことが可能です。

秘密証書遺言を作成するデメリット

保管を依頼する際、公証役場で内容確認を行わないため、必要事項の記載漏れなどがあれば遺言が無効になってしまいます。

※遺言書の作成や保管をされる際は、必要に応じて弁護士等の専門家とご相談の上、ご自身の責任においてご対応ください。

まとめ

・終活とは、人生を終えるにあたり必要となる活動や、残りの人生をより充実したものにするための活動です。

・終活には、「自分自身の希望に添った最期を迎えられる」「家族の不安や負担を軽減することができる」「より充実した人生を歩むきっかけを作ることができる」といったメリットがあります。