こんにちは。服部葬儀社 相談員の横尾です。
近年「直葬(ちょくそう・じきそう)」や「火葬式(かそうしき)」という言葉を耳にしたことはありませんか?
いずれも近年呼ばれるようになったお葬式のスタイルです。
それでは直葬・火葬式はどのようなお葬式なのでしょうか。そして、そのメリット・デメリットはどのような事なのでしょうか。このあたりをご紹介します。
また、葬儀としては異なりますが、お亡くなりになってから火葬までの内容が似ているお葬式として、生活保護を受けている方のお葬式「福祉葬」も併せてご紹介します。
目次
◆直葬(ちょくそう・じきそう)・火葬式はどんなお葬式?
直葬・火葬式はどのようなお葬式なのでしょうか。
一言で説明すると「亡くなった方の火葬の準備のみ行う」という事になります。一般的なお葬式のように葬儀式場で祭壇を飾って会葬者に来ていただいたり、僧侶からのお経をいただいたりすることはありません。つまり通夜式や葬儀式などの「式」を一切行わないという形式です。
それでは「亡くなった方の火葬の準備のみ行う」という事は、具体的にどのような事でしょうか。葬儀社によって内容は異なりますが、以下が最低限火葬のために準備する内容です。
・病院からご安置先までのご遺体の搬送とご安置
・棺の準備と納棺
・霊柩車で火葬場へのご移動
主な内容としてはこれだけしかありません。僧侶のお経も、祭壇を飾るということもありません。しっかりとお別れすることは難しいですが、そのためかかる費用は最低限で行える葬儀スタイルです。
◆直葬・火葬式に明確な違いはありません
これまで直葬・火葬式と合わせてご案内しておりましたが、違いはあるのでしょうか?
火葬式という言葉は、比較的前からありましたが、直送に関しては火葬式より後で、近年出てきた言葉と言ってもよいでしょう。
直送と火葬式の意味としての違いは、ほぼないと言ってよいでしょう。
ただし、各葬儀社でこれらの言葉を使用していないところもありますし、葬儀プランまたは、サービスの提供の違いで分けている場合もあります。
例えば、直送プランは、火葬場に行くことのみに特化したプランで、費用を一番抑える設定にして、火葬式プランはお参りのセットが付属したり、スタッフのサービスがあったりと直送より付加サービスを加えている葬儀社もあります。
◆直葬・火葬式が増えつつあります
このような簡素なお葬式は年々増えているようですが、なぜなのでしょうか?
例えば、近年社会問題となっている「孤独死」の増加です。身寄りがなく一人で生活していた方が亡くなる。つまり孤独死をされて家族や親族以外から発見された場合は、警察によって事件性を調べ、家族・親族に亡くなったことを連絡します。
もしあなたが、故人と血縁関係があることで親族と判断され、警察よりご遺体を引き取ってください。との連絡を受けたときに皆さまはどうのようにされますか?もちろん面識のない親族とした場合です。
あくまでも私個人の見解ではありますが、一般的なお葬式では、会場・式場費など葬儀費用の他、僧侶へのお布施など、費用は多くかかります。親族とはいえ、多くの方は面識のない方のお葬式では必然的に費用を抑え簡素になってしまうのではないでしょうか。
その他の理由としては、どうしてもお葬式に費用がかけられない方や、故人の遺言だった、故人とのつながりが希薄になったから。という方もいらっしゃいました。
このように直葬・火葬式を行う理由として一部を紹介させていただきました。それぞれの家庭で様々な理由がありますが、都市圏を中心に年々増えつつあるようです。
◆亡くなってすぐに火葬することはできません
直送という言葉から連想して、誤解を受けやすい事として、「病院で亡くなった場合では、病院から火葬場にすぐに向って火葬する事」と思われる方も多いのではないでしょうか。
答えとしては、亡くなった場所から直接火葬場に向かう事は一部を除きほぼ不可能です。
火葬場は、市区町村で管理されているため、それぞれ施設やルールにより異なっており、統一されているわけではありません。そのため一概には言えませんが、直接火葬場に向かえない理由をご紹介します。
・火葬許可証がないと火葬場に入場できない?
亡くなってすぐに火葬場に向かうことは、まず、火葬許可証がないと入場できない火葬場も多く、すぐに入場するというわけにはまいりません。
火葬許可証は、役所で死亡届を提出して受理されてから発行されるため、その発行時間も必要となります。
さらに、棺に入っていないと火葬場には入場不可というところも多くあります。
・火葬は死後24時間経過後
「墓地、埋葬等に関する法律」第2章-第3条を一部抜粋します。
「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。」とあります。つまり亡くなってから24時間経過しないと火葬はできないということです。
つまりこの法律より亡くなってからすぐに火葬することはできないのです。
ただし、例外があり、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」では、「一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、二十四時間以内に火葬し、又は埋葬することができる。」とあります。
これにより、昨今私たちを苦しめている新型コロナウイルス罹患者が亡くなった場合は24時間以内での火葬は認められているのです。(2022年1月現在)
◆直葬・火葬式のメリット・デメリットとは
・直葬・火葬式のメリット
火葬するための準備のみ行う直葬・火葬式のメリットとしては、なんといっても圧倒的な低価格にあります。地域性や各葬儀社のサービス内容によって異なりますが、一般的に20万円以下で行える場合がほとんどです。ただし、付帯サービスが各社異なるので、費用に含まれている内容をよく確認する必要があります。
また、一般的なお葬式を行うということは心身的に大きな負担がかかりますが、直葬・火葬式では、ほとんどの行程が省かれるため、遺族の負担は軽減されることでしょう。
・直葬・火葬式のデメリット
直葬・火葬式を終えた遺族の心情として、「しっかり送り出すことができなかった」や「こんなに簡単に火葬してしまってよかったのか」と後悔する遺族も多くいらっしゃいます。
また、「お経もなく故人がかわいそう」や「故人を粗末にしている」など、親族や周辺から非難されることも少なくありません。
◆福祉葬とは?
今回は、直葬・火葬式についてのお話でしたが、この中に福祉葬を加えた理由としては、直葬・火葬式に費用も内容もとても似ているからです。
福祉葬は、生活保護を受けている世帯で受けることができますが、葬儀を行う際に支払い能力がある方がいる場合は適用されない場合あり、その決定権は市町村の福祉課など、担当部署で決められます。
詳細は過去のブログをご覧ください。
【北海道余市の福祉葬】生活保護(葬祭扶助)でのお葬式
福祉葬は決められた費用内の中で行わなければならないため、一般的に僧侶による読経や祭壇も作ることができず、ほぼ直葬・火葬式と同じ内容になります。
◆あとがき
2022年1月現在、新型コロナウイルスで亡くなられた方は、家族は病院で見舞いもできず、亡くなったあとは、葬儀社によって納棺され火葬場で火葬されます。遺族は会うこともお葬式も行うこともできずに火葬後お骨になってからやっと会える状態になります。
このようななか、多くの遺族は、お葬式はおろか見送ることすらできなかった。と悔やんでいる方が多くいるのです。これは、葬儀社の私にとってもお別れすらできないということはとてもつらいことです。
お葬式は、結婚式とある意味同じで家族だけの問題ではないと私は考えます。現在は自分の家族である人もかつては、親やきょうだいがいる別の家族でもありました。
このように大切な家族が亡くなった際にご自分たちのみで大切なことを決めることは慎重さが必要だと思います。
もし直送・火葬式を検討されている場合は、デメリットを考慮のうえ、親戚などの事も考え冷静に検討することをおすすめします。
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