「うちは娘しかおらず、家を継ぐ男兄弟がいません。親の葬儀では誰が喪主をすべきでしょうか?」
「すでに他家に嫁いで名字が変わった私が喪主になっても、親戚に何か言われないでしょうか?」
「夫に任せるべきか、それとも私がやるべきか、正解がわからず不安です……」
大切なご両親の最期が近づいたとき、あるいは予期せぬお別れに直面したとき、多くの女性がこうした「役割」と「常識」に悩みます。特に地方の慣習や、古い考えを持つご親戚がいる場合、「女が前に出るなんて」と陰口を叩かれないか、心配になるのは当然のことです。
葬儀のプロの視点から結論をお伝えすると、娘さんが喪主を務めることは、現代では全く問題ありません。
なぜなら、形式的に「家の代表(男性)」が務める葬儀よりも、故人を一番近くで見守り、愛してきた娘さんが中心となるお葬式の方が、圧倒的に温かく、心に深く残るからです。大切なのは「男か女か」で悩むことではなく、「どう役割分担をして、故人らしいお見送りができるか」です。
この記事では、娘しかいない場合の喪主の決め方から、夫への賢い頼み方、親戚への対応、そして「そのまま読めば涙を誘う」挨拶文例まで、徹底的に解説します。迷いや不安を解消するためにお役立てください。
目次
結論:子供が娘しかいない場合、喪主は誰がやるべき?
かつては「家督を継ぐ長男」が喪主を務めるのが絶対的なルールでした。しかし時代が変わり、核家族化、少子化、そして個人の生き方が多様化した現代では、そのようなルールも変化しています。まずは今の時代の「常識」を正しく理解しましょう。
今の時代、「実の娘」が喪主を務めるのは自然なこと
一昔前までは「お葬式=家の威信をかけた行事」であり、跡取りの存在が重要視されました。しかし現在は、家族葬が増えていることからもわかるように、「お葬式=故人を偲び、感謝を伝える場」という考え方が主流になっています。
実際の葬儀現場でも、女性(故人の娘)が喪主を務めるケースは多くあります。喪主の約半数が配偶者、次いで3〜4割が子供ですが、その中で「娘が喪主」というパターンは年々増加傾向にあります。
特に、介護などで最後まで親に寄り添ったのが娘さんである場合、葬儀社としても「事情をよく知らない男性親族」より「事情を熟知している娘さん」が喪主になることは全く問題ないと認識しています。「娘しかいないから仕方なく」ではなく、「娘だからこそ、心を込めて送れる」といえるでしょう。
喪主を決める一般的な「優先順位」のルール

親戚を説得するための材料として、一般的な優先順位を知っておきましょう。慣習上、喪主を決める順序は以下の通りです。
- 遺言での指名者(故人の意志が最優先)
- 配偶者(故人の夫や妻)
- 長男
- 次男以降の直系男子
- 長女
- 次女以降の直系女子
このリストを見ると長女は5番目ですが、現実的には様々なケースが存在します。
例えば、もし故人の配偶者がご存命でも、高齢で体力がなかったり、認知症を患っていたりするケースが多々あります。その場合、実質的な筆頭候補は「長男」か「長女」になります。
ここで男兄弟がいないのであれば、ルール上も「長女」が正当な喪主候補となります。
なぜ「娘の夫」より「実の娘」が推奨されるのか?
よくある最大の悩みが、「既婚の長女である私ではなく、私の夫(世帯主)が喪主をやるべき?」というものです。
実際以前は世帯主が喪主を担うことが一般的でしたが、現在では「実の娘」が喪主を務めるケースも多くなっています。
理由は大きく2つあります。
1. 血縁の深さとエピソードの量
お葬式の打ち合わせでは、多くの事柄を決定する必要があります。例えば祭壇花や、棺・仏衣の種類などです。そのため喪主は、「お母様は好きなお花はありましたか?」「どんな色がお好きでしたか?」といった多くの質問を受けることになります。このとき、形式的な付き合いの夫では答えられません。幼い頃から親を知る娘さんだからこそ、祭壇のデザインや思い出コーナーの作成に「故人らしさ」を反映でき、後悔のない式にできるのです。
2. ジェンダー観の変化
「男だから夫がやる」という考え方は、今の時代、逆に参列者に違和感を与えることがあります。「娘さんがいるのに、なぜ旦那さんが前に出るの?」と思われることも少なくありません。
【状況別】既婚・独身・姉妹のみ…ケースごとのベストな判断

一口に「娘しかいない」といっても、それぞれの家庭環境によって最適解は変わります。ここでは4つのパターン別に、誰がどう動くべきかを具体的に解説します。
ケース1:娘が既婚で、夫(婿養子ではない)がいる場合
このパターンでは、2つの選択肢があります。ご夫婦の関係性や状況に合わせて選んでください。
【パターンA:娘が喪主・夫がサポート】
名実ともに娘さんが喪主を務めます。挨拶や決定権は娘さんが持ちますが、夫には「親族代表」のような立ち位置で、裏方の指揮官になってもらいます。
メリット:娘さんは故人とのお別れに集中でき、夫は「妻を支える役割」を担います。
【パターンB:夫が喪主】
娘さんが妊娠中、育児で手一杯、あるいはあまりに悲しみが深く人前に立てない状態の場合などは、夫が喪主を務めるのも自然な流れといえるでしょう。また、夫が故人と同居しており実の親子のように親密だった場合も該当します。
この場合、夫が喪主を務めますが、挨拶の中で必ず「本来なら娘である妻が務めるところですが、動転しておりますので、私が代わりを務めさせていただきます」などと一言添えるとよいでしょう。
ケース2:娘が独身の場合
娘さんが喪主を務めることが一般的です。
このケースで不安なのは、「お金のことや手続きを一人で背負いきれるか」という点かと思います。
対策として、親戚(叔父や叔母)の中で話しやすい方に「後見人」のような立場で相談役をお願いするのが賢い方法です。「喪主は私がやりますが、初めてで不安なので、おじさんに相談させてもらってもいいですか?」と事前に頼んでおくとよいでしょう。
また、お客様のサポートを徹底している葬儀社であれば、親身になって相談にのってくれるため、喪主としての不安も軽減されます。
ケース3:娘姉妹しかいない場合(長女か次女か?)
基本は「長女」が喪主ですが、絶対的な決まりではありません。
例えば、長女が遠方に住んでいて、次女が親と同居・介護をしていた場合、事情をよく知る次女が喪主を務めることは全く問題ありませんし、そのような特別な理由がない場合でも、次女が喪主を務めるケースもあります。
また、姉妹で役割を分担する、以下のような方法も有効です。
- 喪主(名目上の代表・挨拶・位牌を持つ):長女
- 施主(葬儀費用の負担・葬儀社との打ち合わせ担当):次女
このように分ければ、「姉にお金も手間も全部押し付けられた」「妹ばかり負担がかかっている」といった姉妹間のトラブルを回避できます。
ケース4:娘婿(婿養子)がいる場合
娘さんの夫が、親と養子縁組をしている「婿養子」の場合、戸籍上は「実子(長男)」と同じ扱いになります。
この場合は、慣習的にも法律的にも夫(婿養子)が喪主を務めるのが一般的であり、親戚もそれを期待することが多いでしょう。
ただし、夫婦関係において妻(娘)の方が主導権を持っていたり、夫が控えめな性格であれば、妻が喪主をしても構いません。大切なのは夫婦間で話し合い、お互いが納得することです。
娘が喪主をする場合、「夫の役割」はどうする?

娘さんが喪主を務める場合、夫の協力は不可欠です。しかし、前に出すぎてしまうと周囲が混乱し、逆に関与しなさすぎると「非協力的」と見られかねません。夫には、喪主である妻を支える「実務面でのサポーター」になってもらうのが理想的です。
夫は「喪主のサポート役」に徹するのがスマート
喪主(妻)は、弔問客への挨拶や僧侶への対応などで席を外すことが多くなります。夫には可能な範囲で以下の実務をお願いすることで、喪主となる娘さんの負担が軽減されます。
【夫にお願いする役割の事例】
- 受付・会計の管理:香典の管理など、金銭に関わる重要な役割。
- 親戚の送迎手配:駅からのタクシー手配や、宿泊先の案内など。
- 力仕事全般:出棺時に棺を持つ役割や、荷物の運搬など。
これらを夫が責任を持ってこなすことで、親戚の方々からも「しっかりサポートしてくれる旦那さんで安心だ」と信頼を得ることができます。
挨拶だけ夫に任せてもいい?
「喪主は私(娘)ですが、人前で話すのがどうしても苦手…」
「悲しみのあまり、気丈に振る舞える自信がない」
そのような場合は、喪主挨拶だけ夫に代読してもらうことも可能です。
挨拶の冒頭で、「妻○○に代わりまして、夫の私がご挨拶申し上げます」と一言添えれば、マナー違反にはなりません。夫婦で支え合っている姿として好意的に受け止められることが多いでしょう。
香典返しや会葬礼状は夫の名前にするべき?
香典返しや会葬礼状を、誰の名前にするか迷われる方もいらっしゃいます。
基本的には「喪主の名前(娘さんが喪主であれば娘の名前)」で統一します。しかし、地域や親戚の考え方によっては「世帯主(夫)の名前を出すべきではないか」という意見が出ることもあります。
その際のおすすめは「連名」にすることです。
名前を並記することで、娘としての立場も、夫の対外的な立場も、両方を尊重することができます。葬儀社に相談すれば、文字の大きさや配置も適切に調整してくれます。葬儀は地域の風習によって対応が異なるため、地域の葬儀に詳しい葬儀社に依頼すると安心できるでしょう。
娘が喪主をする時に円滑に進めるための準備方法

「親戚の方々に失礼がないか心配…」
「マナー違反をして、迷惑をかけたくない」
そのような不安を解消し、葬儀を円滑に進めるための事前の準備とマナーについて解説します。
親戚への事前の「相談」がトラブルを防ぐ
葬儀におけるトラブルの多くは、相談なく物事を決めてしまった際に起こりがちです。
特に、故人との血縁が近い方や関係性が深い方には、事前に電話を入れておくことをおすすめします。相談があるだけで、印象は大きく変わります。
【電話での相談例】
「突然のことで動転しておりますが、母の葬儀についてご相談させてください。
母の生前の希望もあり、長女である私が喪主を務めさせていただこうと考えております。
不慣れで至らぬ点も多いかと思いますので、本家の叔父様にはぜひお力添えをお願いしたいと思いご連絡しました。私にわからないことがあれば相談させてください」
ポイントは「相談」の形をとりつつ決定事項を伝え、相手を立てることです。頼りにされて悪い気をする方はいませんので、協力的な関係を築きやすくなります。
焼香の順番はどうなる?
焼香順位は、故人との血縁の濃さが基準となります。女性が喪主の場合、以下のような順序が一般的です。夫の位置にご注意ください。
- 喪主(娘)
- 喪主の夫(※血縁はなくとも、喪主の伴侶として2番目)
- 喪主の子供(孫)
- 故人の他の子供(次女など)
- 次女の夫
- 故人の兄弟姉妹
夫を2番目にすることで、親族全体に対して夫の立場を尊重する形になります。
※焼香順位は「血縁の濃さ」か「喪主の家族」を優先するかで、地域やお寺様により考え方が大きく異なります。葬儀社やご親族と相談して決めましょう。
服装と身だしなみのマナー(和装か洋装か)
以前は「喪主は着物(和装)を着なければいけない」と思われている方も多くいましたが、近年は洋装(ブラックフォーマル)の喪主様も非常に増えています。
喪主は立ったり座ったり、お辞儀をしたりと、想像以上に体力を使います。慣れない着物で体調を崩してしまっては大変ですので、「動きやすさを重視して洋装にします」と決めていただいて問題ありません。
【女性喪主の身だしなみチェックリスト】
- 服装:肌の露出が少ない、格式高いブラックフォーマル(アンサンブルなど)。スカート丈は膝が隠れるものを選びます。
- メイク:「片化粧」と言われる、薄化粧が基本です。ラメやパール入りは避け、口紅はマットなベージュ系か薄いピンクを選びます。
- アクセサリー:結婚指輪以外は外すのが無難です。ネックレスをつける場合は一連のパールを選びましょう(「不幸が重なる」ことを連想させる二連は避けます)。
- ストッキング:30デニール以下の薄い黒を着用します。厚手のタイツはカジュアルに見えるため避けたほうが良いでしょう。ただし近年は、防寒や体調管理の観点から、厚手のタイツ着用を許容する傾向もあります。
- ネイル:透明かベージュなど目立たない色にします。派手なものはオフするか、黒い手袋で隠すなどの配慮が必要です。
【そのまま使える】娘喪主のための挨拶文例集

娘さんが喪主を務める場合、挨拶に「娘としての想い」を込めることで、より温かい式になります。定型文だけでなく、具体的なエピソードを少し加えるだけで、参列者の心に響く挨拶になります。
ここでは、通夜から精進落としまで、時系列に沿った文例をご紹介します。
文例1:通夜終了の挨拶(参列者への感謝と翌日の案内)
「本日はご多忙の中、母・〇〇の通夜にご参列いただき、誠にありがとうございます。
皆様より心のこもったお焼香を賜り、故人もさぞ喜んでいることと存じます。
生前の母は、賑やかなことが大好きで、いつも家族や友人の笑顔に囲まれていたいと願う人でした。今日はこれほど多くの方にお集まりいただき、母も安らかな笑顔で皆様を見守っていると思います。
明日の葬儀・告別式は、〇〇時より執り行います。
ご都合が叶う方は、明日も母のお見送りにお力添えをいただけますと幸いです。
本日は誠にありがとうございました。」
文例2:通夜振る舞い(食事)への案内挨拶
「ささやかではございますが、別室にお食事(お清め)の席を用意いたしました。
お時間の許す限り、皆様の心に残っている母の思い出話などを聞かせていただければ幸いです。
皆様のお話こそが、何よりの供養になります。
どうぞお気兼ねなく、お召し上がりください。」
文例3:通夜振る舞いの開始の挨拶(席に着いた時)
「改めまして、本日はお足元の悪い中、通夜にご参列いただきありがとうございました。
ささやかではございますが、心ばかりのお食事をご用意いたしました。
皆様が故人を偲んで語り合ってくださることが、何よりの供養となります。
お時間の許す限り、ゆっくりと召し上がってください。」
文例4:通夜振る舞いの終了(お開き)の挨拶
「皆様、本日は遅くまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
故人との思い出話は尽きませんが、夜も更けてまいりました。
明日の葬儀・告別式にも備えなくてはなりませんので、本日はこのあたりでお開きとさせていただきたいと存じます。
明日の告別式は、午前〇〇時より執り行います。
ご都合のつく方は、明日も故人を見送っていただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください。」
文例5:一般的な出棺の挨拶(母を見送る娘の視点)
「本日はお足元の悪い中、母・〇〇のためにご会葬いただき、誠にありがとうございます。
皆様に見守られ、母もきっと喜んでいることと思います。
母は、花が好きで、いつも庭の手入れをしている、とても優しい人でした。私が子育てに悩んだ時は、何も言わずに料理を作って駆けつけてくれる、頼りになる母でもありました。
晩年は病との闘いでしたが、最後まで『ありがとう』と家族を気遣う強さを見せてくれました。
娘として、母の子供に生まれたことを誇りに思います。
これからは残された家族で力を合わせ、母が教えてくれた優しさを大切に歩んでまいります。
生前のご厚情に深く感謝し、最後のお礼の言葉とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。」
文例6夫に代読してもらう場合の挨拶
「遺族を代表いたしまして、一言ご挨拶申し上げます。
本来であれば、喪主である妻の〇〇がご挨拶すべきところですが、最愛の母を亡くした悲しみ深く、言葉を継ぐことができません。
そのため、夫である私が代わりにご挨拶させていただきます。
(中略:故人のエピソードや感謝の言葉)
義母には、私たち夫婦が結婚した当初から実の息子のように可愛がっていただき、感謝の念に堪えません。
未熟な私たち夫婦ではございますが、義母が生前大切にしていた『人とのご縁』を胸に、精一杯生きていく所存です。
今後とも、妻共々、変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。」
文例7:精進落とし(食事)の席での短い挨拶
「本日は長時間にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。
おかげさまで、滞りなく葬儀を済ませることができました。
ささやかではございますが、お膳をご用意いたしました。
生前の母の思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。
どうぞ、時間の許す限りごゆっくりお召し上がりください。」
ひとりで抱え込まないためにやるべきこと
ここまで、娘さんが喪主を務めることの正当性や具体的なノウハウをお伝えしてきました。最後に、大切なお話をさせていただきます。
喪主の負担は想像以上。プロを味方につける重要性
喪主の務めは、大切な親を亡くした直後の、精神的に最も辛い時期に行わなければなりません。
「私がしっかりしなければ」「親戚に迷惑をかけないようにしなければ」と気を張りすぎて、葬儀が終わった後に体調を崩してしまう方も少なくありません。
だからこそ、「何でも相談できる、信頼できる葬儀社」を見つけておくことが重要です。
良心的な葬儀社のスタッフは、単なる手配代行ではありません。
「親戚の方にこう言われたけれど、どう対応すればよいか」「挨拶の文章を一緒に考えてほしい」といった悩みにも、親身になって応えてくれます。
事前相談・資料請求をしておくメリット
もし少しでも時間に猶予がある場合は、事前に葬儀社の資料請求や無料相談をしておくことを強くおすすめします。
- 費用の目安がわかる:概算の見積もりがあれば、姉妹や夫と予算の分担を事前に相談できます。費用負担については、後々トラブルになりやすいポイントです。
- 葬儀社の雰囲気がわかる:電話対応一つでも、その会社が丁寧か、親切かどうかを見分ける手掛かりになり、相性が良くない葬儀社を選んでしまうリスクを減らせます。
- 精神的なお守りになる:「いざという時はここに連絡すればいい」という安心感が、心の余裕を生みます。
「まだ元気なのに縁起でもない」と躊躇する必要はありません。むしろ、大切なご両親のために「準備を整えておく」ことこそが、安心につながる親孝行と言えます。
喪主が娘しかいない場合によくある質問

最後に、娘さんが喪主を務めるにあたって、多くの方が疑問に思われるポイントをQ&A形式でまとめました。
Q. 喪主を「姉妹連名」にすることはできますか?
A. 可能ですが、基本的には代表者1名を立てることをおすすめします。
気持ちとしては「姉妹で一緒に」という想いがあるかと思いますが、対外的な窓口や、緊急時の連絡先が複数あると、葬儀社や関係者が混乱する原因になります。
ただし、会葬礼状や挨拶状の差出人を連名にすることは可能です。実務上の喪主(窓口)は長女様としつつ、形式上は連名にするなど、葬儀社に相談して柔軟に対応してもらうと良いでしょう。
Q. 名字が違う娘が喪主をすると、位牌やお墓はどうなりますか?
A. 喪主をすることと、お墓の承継は別の問題として考えます。
喪主を務めること自体は、名字が違っても全く問題ありません。位牌も、実家のお仏壇で祀る分には名字の違いは関係ありません。
ただし、「先祖代々のお墓」を誰が継ぐか(承継者)という点については、霊園やお寺の規則、親族間の話し合いが必要です。「墓じまい」をして永代供養にするのか、娘さんが承継するのか、葬儀の機会に将来のことまで含めてお寺様やご家族と相談しておくのが賢明です。
Q. 葬儀費用は誰が支払うべきですか?喪主ですか?
A. 必ずしも喪主が全額負担する必要はありません。
一般的には「喪主=費用負担者(施主)」となることが多いですが、法的な決まりはありません。
「喪主は長女が務めるが、費用は故人の預貯金(遺産)から支払う」「姉妹で折半する」といったケースもよくあります。後々のトラブルを防ぐためにも、誰がどの程度負担するのか、事前に親族間でクリアにしておくことが大切です。
Q. 夫の両親(義父母)には、どのように連絡すればよいですか?
A. 喪主の夫の親として、早めに連絡を入れるのがマナーです。
娘さんが喪主をする場合、夫は「喪主の夫」という重要な立場になります。そのため、夫のご両親(義父母)にとっても、無関係な葬儀ではありません。
訃報を伝える際は、夫から連絡してもらい、「妻が喪主を務めること」と「夫もそれをサポートすること」を伝えてもらいましょう。また、義父母からの香典や供花については、地域や家ごとの慣習が強いため、「お気遣いは無用にお願いします」などと勝手に判断せず、夫を通じて意向を確認するのが無難です。
Q. 妊娠中や小さな子供がいる場合でも、喪主を務められますか?
A. 可能ですが、無理は禁物です。夫や葬儀社を頼ってください。
妊娠中の方や、授乳中のお子様がいらっしゃる方が喪主を務めるケースもありますが、葬儀は長時間の拘束や心労が重なるため、お体への負担は想像以上です。
打ち合わせは自宅に来てもらう、立ちっぱなしは避けて椅子を用意してもらう、挨拶は夫に代読してもらうなど、配慮できるポイントはたくさんあります。葬儀社も事情を汲んでサポートしますので、最初に「妊娠中です」「小さい子供がいます」と正直に伝えて、無理のないプランを立てましょう。
まとめ:娘だからこそできる、温かいお見送りがあります
「男兄弟がいないから、私がしっかりしなければ」
「嫁に出た身で、実家の喪主をしていいのだろうか」
ここまで読んでくださった皆様は、責任感が強く、ご家族を大切に想われているからこそ、悩まれていたのだと思います。
しかし、実の娘さんが喪主を務めることに問題はなく、理にかなった選択といえます。
形式にとらわれない、故人の人柄が伝わる温かいお葬式は、娘さんだからこそ実現できるものです。
もし、まだ不安な点や、「うちは特殊な事情があるから…」といったお悩みがあれば、葬儀社の事前相談を利用することをおすすめします。㈱服部ではプロのスタッフが、ご家庭の事情に合わせて、最適な役割分担や進行プランをご提案します。
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