こんにちは。服部葬儀社 相談員の横尾です。
今回は北海道の香典返しについてのお話です。香典返しは、お葬式の際にいただく御香典に対して、感謝の気持ちを表すために贈る品物ですが、地域によってお返しするタイミングやマナーが異なります。北海道の香典返しにはどのようなマナーがあるのか、詳しくご紹介します。
目次
そもそも香典返しとは
香典返しは、葬儀に参列された方からいただく御香典に対して、遺族がお礼の気持ちを伝えるためにお渡しする返礼品です。北海道では多くの場合、通夜や葬儀の当日、御香典をいただいたその場ですぐに返礼品をお渡しする「即日返し」と呼ばれる方法がとられます。本州では四十九日法要の翌日から1か月以内にお返しをお送りする「後日返し」とすることが一般的でしたが、近年では即日返しとすることも増えています。「即日返し」と「当日返し」について、以下に詳しくご説明します。
即日返しとは
通夜や葬儀当日、御香典をいただいたその場で返礼品をお渡しすることを「即日返し」や「当日返し」といいます。前述したように、北海道の香典返しは即日返しとすることが一般的です。香典返しはいただいた御香典の1/3〜半額程度の品物をお渡しすることが一般的ですが、北海道では1,000円〜2,000円程度の香典返しを用意するご家庭が多くなっています。北海道の葬儀であっても、高額な香典をいただいた場合、後日改めて香典返しをお送りする「後日返し」を行う場合もあります。
後日返しとは
通夜や葬儀、または葬儀終了から四十九日までの間にいただいた御香典に対して、四十九日法要終了後に返礼品をお送りすることを「後日返し」といいます。本州では、四十九日法要の翌日から1か月以内にお送りすることがマナーとなっています。北海道で後日返しをする場合、葬儀終了後すぐにお送りすることも珍しくありません。
香典返しに適する品物
食べたり使ったりすると無くなるものや、消耗サイクルの早いもの、いわゆる「消えもの」と呼ばれる物が適しています。残らずに消えるものを選ぶ理由は、「不幸が後に残らないように」という願いが込められているからです。北海道の香典返しとしてよく用いられるものは、海苔、お茶、コーヒー、調味料などです。近年ではカタログギフトを用いる場合もあります。
香典返しに適さない品物
食べ物や飲み物であっても、香典返しには適さないものもあります。肉や魚といった生鮮食品、お酒、鰹節、昆布など慶事を連想するものは避けましょう。また、現金をお返しすることもマナー違反となります。近年では香典返しとして商品券を送るケースもありますが、中には「現金をつき返されたようだ」「金額がはっきりわかってしまうので違和感がある」など、香典返しに商品券を送ることについて、マナー違反だと感じる人もいるようです。
香典返しの購入場所
香典返しは、葬儀を行う葬儀社に注文することができます。後日返しについては、葬儀を行った葬儀社に注文する他に、スーパーのギフト売り場やデパート、インターネットなどで購入することができます。購入する際は、掛け紙の種類を間違えないように注意してください。掛け紙の注意点については次項でご説明します。
後日返しの掛け紙に関する注意点
後日返しに用いる掛け紙は、弔事のマナーに従って用意する必要があります。掛け紙についての注意点は以下の通りです。
①のしあわびは付けない
結婚祝いや出産祝いなど、お祝いの品を贈る際には、縁起物である「のしあわび」が描かれた掛け紙を用いますが、弔事である葬儀には「のしあわび」が描かれた掛け紙を使用することはできません。
②弔事に適した水引を選ぶ
慶事と弔事では水引にも違いがあります。香典返しの水引は基本的に「黒白の結び切り」を用います。関西など一部の地域では「黄白の結び切り」を使用する場合があります。結び切りとは固結びのことで、一度結んだらほどけないことから、繰り返して欲しくない物事(葬儀・結婚など)に関わる掛け紙に使用されます。
③宗教に適した掛け紙を使用する
掛け紙には「蓮の花」が描かれたものがありますが、これは仏式の葬儀を行った場合の掛け紙となります。仏式以外(神式・キリスト教式・無宗教式など)の葬儀を行った場合は、蓮の花が描かれていない掛け紙を使用しましょう。
香典返しを辞退する事例
あまり多くはありませんが、香典返しをいただくことを辞退する方もいます。なぜ香典返しを辞退するのか、以下に事例をご紹介します。
遺族への気遣い
ご家族を亡くし、悲しい思いをされているご遺族の負担を軽減するために、香典返し辞退を申し出る方もいます。家計を支えていた方が亡くなった場合などは、特にそのような気遣いから、香典返し辞退につながります。
連名で香典を出した
夫婦や親戚、職場の同僚が連名で香典を包む場合もありますが、そうすると一人一人の香典額が少額となったり、香典返しの選び方が難しくなったりする場合があり、かえって喪主の負担となることが考えられるため、香典返しを辞退する場合があります。ただし、「連名の香典全てに対して香典返しを渡す必要がない」ということではなく、「辞退された方に限ってお返しする必要が無い」ということですので、辞退されない方には香典返しをお渡ししましょう。
会社経費で香典を出した
香典が会社の経費として認められる場合、個人で香典を出すわけではないので、香典返しを辞退するというケースもあります。また、そのようなルールが明確に定められている企業もあります。
上記の他に「家庭の風習で親族間のお返しを不要としている」「葬儀が終わってから香典を送ったので、わざわざお返しを用意してもらうのは気が引ける」「いただきものをすることが苦手」「荷物を持ち歩きたくない」などの理由が考えられます。
香典返しを辞退されたらどうすれば良い?
香典返しを辞退された場合、無理にお返しをお渡しする必要はありません。前述したように、会社のルール等で香典返しが受け取れないというケースもありますので、無理強いすることは避けましょう。感謝の気持ちを表すために、お礼状のみをお渡しするかお送りするようにしましょう。
香典返しを辞退する方法
香典返しを辞退する場合、香典をお渡しする時に、お返しを辞退する旨を伝える必要があります。北海道の葬儀では香典返しは即返しとなることが一般的なので、葬儀受付の際に香典返しを辞退することを伝えます。ただし、高額な香典をお渡しする場合は、後日返しが送られてくる可能性があるため、受付で伝えるだけでなく、香典袋に辞退する旨を記入するか、香典に便箋を添えて伝える必要があります。香典袋に記入する場合、住所氏名を記載し、その左側に「お返しは辞退させていただきます」などと書きましょう。便箋を添える場合は一筆箋を用意し、宛名・本文・差出人を記入して、香典袋に納めましょう。香典を現金書留で送る場合、香典袋に香典を入れ、一筆箋に「お悔やみの言葉」と「香典返しを辞退する旨」を記入して送ると良いでしょう。
まとめ
・香典返しとは、いただいた香典に対して、遺族からお礼の気持ちを伝えるためにお渡しする返礼品です。北海道では通夜や葬儀当日にお返しする「即日返し」と呼ばれる方法が一般的となっています。
・香典返しには、食べたり使ったりすると無くなる「消えもの」が適しています。海苔、お茶、コーヒー、調味料などの他、カタログギフトを用いる場合もあります。肉や魚等の生鮮食品、お酒、鰹節、昆布など慶事を連想するものは避けましょう。
・ご遺族への気遣いや会社のルールなどから、香典返しを辞退する人もいます。無理に渡すことはせず、お礼状のみをお渡しするかお送りするようにしましょう。