「法事と法要の違いって?」「いつ、何回忌までやるの?」など、法事や法要にあたっては戸惑うことが多いでしょう。

それもそのはず。2017年に実施された『仏事のお悩みに関するアンケート調査』によると、葬儀の次に多いのが、『法事・法要』という結果でした。

【仏事に関して悩んだこと】

1位:葬儀について 34.2%

2位:法要・法事ついて 18.3%

3位:お墓について 17.3%

4位:お寺との付き合い 11.6%

5位:仏壇 9.5%

出典:仏事のお悩みに関するアンケート調査(全国石製品協同組合)

お寺や故人の親族に対する建前もあれば、常識を問われるような疑問や悩み事は、周囲にも相談しにくいものです。 

そこで本記事では、法事や法要に関する基礎知識やよくある質問を分かりやすくまとめてご紹介しますので、どうぞ参考になさってください。

また法事の種類や準備、マナーについては、下記の記事で詳しくご紹介しておりますので、是非ご参照ください。
四十九日・一周忌・三回忌…法要・法事はいつまで行うの?種類やマナーも詳しく解説

法事と法要の違いとは『法事=法要+食事』で表せる

法事と法要とは、それぞれ意味合いが異なり、次の式で簡単に表すことができます。

『法事=法要+食事』

つまり、「法事には食事が含まれる」ことを知っておくと、迷わずに覚えやすいでしょう。

法事とは?

法事とは、法要とその後の会食の流れを含んだ一連の行事のことをいいます。

読経による法要が終わると、僧侶や参列者へ『お斎(おとき)』と呼ばれる料理を振る舞い、感謝の気持ちを込めておもてなしをするのが一般的です。

法事は式場・寺院・ご自宅などで営むため、その場でスムーズに食事を提供できるよう、懐石料理や仕出し弁当などを事前に予約します。

法要とは?

法要とは、僧侶による読経など、亡くなった方の冥福を祈って、弔いと供養のために執り行う宗教的な儀式のことをいいます。

種類も規模も幅広く、亡くなった人を供養するために、先々に亘って何度も繰り返し営む行事です。

法事や法要をやるべき2つの理由とは?

「法事や法要はやらなきゃいけないの?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思いますが、法事や法要を行うのには次の2つの理由があります。

① 追善供養(ついぜんくよう)になる

② 人との繋がりや命と向き合う機会のため

① 追善供養になる

仏教において、法事や法要は『追善供養』の一つ。追善供養とは、故人の供養は善行にあたり、いつしか自分の見返りとして戻ってくるという教えです。

つまり、法事や法要は故人のためだけではなく、自分自身や参列者のメリットにもなります。

なお、追善供養には、お墓参りやお仏壇へお線香を手向ける行為も含まれているため、ぜひ日頃のご供養も大切にしましょう。

一方で、浄土真宗では追善供養という概念がありません。仏様や故人の心に触れ、学びを得られる機会として、法事や法要を大切にしています。

② 人との繋がりや命と向き合う機会のため

法事や法要は、故人やご遺族以外にも、お世話になっている寺院や親族や子孫、故人と縁のあるすべての人にとって大切な行事です。

人は死という悲しみや苦しみを経験してこそ、命の大切さを知り、困った人の力になろうと考えます。

ご近所付き合いや家族同士のコミュニケーションが減り、人間関係が希薄になりがちな現代、法事や法要は人と人との絆を深める役割があります。

さらに、死と向き合うことで、子供や孫たちへ命の尊さを伝える大事な機会であることを知っておきましょう。

法事・法要の種類5つと日程スケジュール

法事や法要には、どのような種類があり、一般的にどのような法事・法要を行う必要があるのか、今後のために日程スケジュールを把握しておきましょう。

① 忌日法要

故人が亡くなった日を含めた7日目は『初七日』 にあたり、法要を執り行います。

初七日法要が終わると、7日ごとに二七日忌、三七日忌、四七日忌、五七日忌、六七日忌、七七日忌(四十九日法要)と続きます。四十九日は『忌明け』や『満中陰』とも呼ばれています。

四十九日法要では、ご遺骨を納骨するための『納骨法要』や、仮位牌から本位牌へと魂を移し替えるために『開眼供養』を同時に行うのが一般的です。

納骨法要や仏壇・お位牌に関しては、「納骨式の準備と納骨場所に持って行くもの」「葬儀後に仏壇と位牌は必要?」の記事で知識や準備方法を解説していますので、参考になさってください。

② 年忌法要

人は誕生日を基準に年を重ねてゆきますが、亡くなった人は年齢が加算されることなく、命日を基準に年数を数えます。

まず、死後1年目となる『一周忌』では、一般的に親族や故人の親しい人を招いて法事を執り行います。2年目は『三回忌』となりますが、ここで注意したいのは「3年目ではない」こと。続いて、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十七回忌、三十三回忌と続きます。

三回忌を過ぎると、家族のみで自宅で法要を営んだり、納骨先で読経供養するケースが多くなります。

ただし、法要はお寺によって考え方が異なるため、お付き合いのあるお寺へ確認のうえ、ご要望があれば相談なさってください。

③ お盆法要

四十九日法要が終わった後、最初に迎えるお盆を『新盆』『初盆』と呼び、ご自宅へ白い提灯を祀(まつ)り、翌年以降は色柄のある提灯を用います。

法要のほか、新盆・初盆では親族を招いて法事を執り行うご家庭も多く、お墓参りを行うのが昔ながらの風習です。 

お盆は毎年8月13〜16日(地域によっては7月13〜16日)となり、一般的にご自宅へ僧侶を招いて読経をしてもらいますが、納骨先で供養する場合もあります。

④ お彼岸法要

お彼岸は春と秋で年2回あり、春分の日と秋分の日をそれぞれ中日として、その前後3日間、合計7日間のことを指します。

お盆と同じようにお墓参りをしたり、お仏壇へご馳走をお供えしたり、ご自宅やお墓へ僧侶をお招きするのが一般的です。

⑤ 寺院やお墓などの行事や法要

寺院やお墓では、経営主体が主宰者となって執り行う行事や、追悼法要、合同法要、慰霊法要などの法要があり、檀家や近隣住人が参加します。

突然の案内に慌てないよう、お付き合いのあるお寺や納骨先の行事は事前に調べておきましょう。

弔い上げ・法要は三十三回忌までが基本

法事や法要に関するお悩みでは、「何回忌まで行うべき?」とお困りの方が多いため、ここでは一般的な知識としてご紹介します。

見出しに「弔い上げ・法要は三十三回忌までが基本」と書きましたが、宗派・寺院の考え方や、家庭の風習によって、五十回忌やそれ以降も法要を営むケースがあります。

最後の年忌法要は『弔い上げ』や『門切り』と呼ばれ、故人の霊が完全に清浄になり、極楽往生できるようになる意味を表すため、法事を執り行います。

まとめ

法事と法要の違いは『法事=法要+食事』で表すことができ、「追善供養になる」「人との繋がりや命と向き合う機会になる」という2つの理由で営まれます。

法事や法要は、宗教的な儀式でもありますが、日本に古くから根付いている、お付き合いやおもてなしの習慣です。

故人と縁のあるすべての人たちの大切な行事であり、先々の人間関係や、子孫が命の尊さを学ぶ役割があることを知っておきましょう。

なお、弊社のサービスは『法要・法事のご案内』へ掲載しております。法要館は料理にこだわりのある方へも喜んでいただいていますので、ぜひご参照ください。