こんにちは、服部葬儀社 相談員の横尾です。

仏式の葬儀を行った場合、初七日や四十九日、一周忌などの節目に法要を行います。命日から一年後に行われる一周忌法要は、遠方に住んでいる親戚などを招き、故人の思い出を語り合う場となることも多いようですが、そこにはどのような意味があり、どんな準備をすれば良いのでしょうか。

今回は一周忌法要の意味や必要となる準備、当日の流れなどについて詳しくご紹介します。

◆一周忌法要にはどんな意味がある?

一周忌は故人を偲ぶための集まりだと思っている方もいるかもしれませんし、それは間違いではありませんが、仏教的にも意味がある行事です。ここでは仏教的な意味についてご紹介します。

仏教では、輪廻転生(生まれ変わりを繰り返すこと)しながら良い行いを積み重ね、やがて解脱(げだつ:悟りを開くこと)することを目標としています。輪廻転生する世界には、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道の六道(りくどう)があり、この世での行いに対する評価によって、生まれ変わる世界が決まると考えられています。

亡くなった人は死後49日目に転生する世界か決まるとされていて(浄土真宗の考え方はこれとは異なります)、故人の評価を良くするために、亡くなってから七日ごとに法要を行い、転生先が決まる49日目には、より盛大な法要を行うことが習わしとなっています。

このように、故人は一周忌には来世に生まれ変わっているとされていますが、故人がより解脱へと近づく事を祈り、仏様への感謝の気持ちを表すために行われる法要が一周忌法要です。

◆一周忌法要を行う時期とは

一周忌法要は、故人が亡くなってからちょうど一年後の祥月命日(しょうつきめいにち)を目途に行います。本来は祥月命日の当日に法要を行うことが理想的ですが、平日に参列できる人が少ないなどの状況を考慮して、祥月命日よりも前の土日に一周忌法要を行うこともあります。

ただし、祥月命日よりも後ろ倒しで法要を行うことは仏教の教えに反するとされているため、後ろ倒しすることは避けた方が良いでしょう。なお、浄土真宗においては後ろ倒しでも問題ないとされています。

一周忌が済むと遺族は「喪明け」となるため、一周忌法要は大きな節目となります。ですから、一周忌法要は遺族だけでなく、親戚や故人の友人、知人、仕事関係者など多くの方を招いて行うことが一般的です。コロナ禍となってからは、密を避けなければいけないという認識から、以前に比べて小規模な法要が増えていましたが、感染者数が増加と減少を繰り返す状況にともない、列席人数にも変化が現れているようです。

◆一周忌法要の当日までに準備が必要なこと

一周忌法要を行うためには様々な準備が必要となります。下記に手順をまとめました。

・お寺への依頼と日程の決定

前述したように本来一周忌法要は、故人が亡くなった日と同月同日に行いますが、平日で参列者の都合が付きづらいといった理由により、前倒しして土日に行われることもあります。

日程を決める際には、法要を依頼する僧侶の都合や、必ず参列する親族の都合を確認する必要があります。

・会場を決める

一般的に法要は自宅、お寺、葬儀式場、ホテルなどで行われます。会場を決める際には、参加人数や交通アクセスなどを考慮して検討すると良いでしょう。

一周忌法要後には会食を行うことが多いため、その場合は会食の手配も必要となります。斎場やホテルの法要プランを利用すると、会場の手配と同時に会食の手配を行うことができるので、連絡や打ち合わせにかかる手間を減らすことができます。

法要後に納骨を行うケースもありますが、その場合は、納骨場所への移動時間や交通手段も考慮した上で、会場を選ぶことをおすすめします。

・列席者への連絡

前述したように、一周忌法要は遺族や親族の他に、故人と親しかった友人や知人を招く場合もあります。遺族や親族など身内への連絡は電話でもかまいませんが、故人の友人や知人への連絡は案内状を用意して郵送する必要があります。

電話連絡の場合でも案内状を送る場合でも、日時と場所を正確に伝えて、参加、不参加を確認しましょう。

・引き物の準備

法要の列席者には引き物を用意して、法要当日にお渡しします。列席者からいただく香典や供物の額によって引き物を変える必要はありませんので、同じ品物を人数分用意しましょう。水引は黒白または双銀の結びきりを用い、表書きは「志」又は「粗供養」とします。

金額の相場は2,000円~5,000円で、食べたり飲んだりするとなくなる「消えもの」や消費サイクルが早い「消耗品」が適しています。列席者が好みに合わせて商品を選ぶことができる「カタログギフト」も、引き物として定番となっています。

・お布施の準備

法要当日に僧侶へお渡しするお布施、お車代、御膳料(僧侶が会食に参加しない場合)を用意します。金額の目安は以下の通りです。

・お布施 3万円〜5万円
・お車代 5,000円~1万円
・御膳料 5,000円~2万円

お布施を用意する際はお札を半紙で包み、更に奉書紙(ほうしょし・ほうしょがみ)と呼ばれる和紙に包むことがていねいな形とされていますが、無地の白封筒を使用しても問題はありません。

お布施は寺院にお渡しするものなので、香典のような「不祝儀」にはあたりません。表書きを書く際には、薄墨でなく黒墨で書きましょう。同じ理由から、使うお札も新札を避ける必要はなく、むしろ新札をご用意した方が礼儀としては正しいという考えもあるようです。

お布施をお渡しする際は手から手へ渡すことはせず、切手盆という小さなお盆に乗せてお渡しするか、畳んだ袱紗に載せてお渡ししましょう。袱紗は祝儀、不祝儀、性別で選ぶべき色が変わりますが、紫色の袱紗は場面や性別を選ばずに使うことができるため、一つ持っておくと便利です。

・供花とお供え物の準備

供花やお供え物は当日会場に届くよう手配します。お供え物として一般的に用いられるものは、ロウソク、お線香、お菓子、果物などです。故人の好物をお供えする場合もあります。食べ物は参列者にお分けすることが通例となっているため、個別に包装されていて、日持ちするものを選ぶと良いでしょう。

仏教で禁じられている殺生を連想させる魚や肉、ネギやニンニクなど匂いの強いものはお供物に適さないので避けましょう。

◆一周忌法要の流れ

一周忌法要当日、喪主は挨拶を行うなどの役割がありますので、あらかじめ流れを把握しておくと良いでしょう。一周忌法要の流れは下記の通りです。

1.僧侶入場
2.喪主(施主)挨拶
3.僧侶による読経
4.焼香
5.僧侶による法話
6.喪主(施主)挨拶
7.会食

※僧侶による法話の後、お墓参りが行われることもあります。

◆一周忌法要の服装マナー

法要の際の服装は、年月の経過とともに平服に近づけていきますが、一周忌法要までは葬儀の際と同格に装うことがマナーとなります。

男性は冠婚葬祭に対応するブラックスーツを着用し、シャツは白(ボタンダウンは不可)、ネクタイや靴下、靴は黒のものを着用します。

女性はワンピースやアンサンブルなどのブラックフォーマルを着用します。ストッキングは黒、靴は黒のパンプスで、ヒールの高さが3cm〜5cm程度のものを選びます。バックストラップの靴やサンダルはマナー違反となります。バッグは黒のハンドバッグで、光沢や装飾が無い布製のものを用いることが理想的ですが、近年は革製のバッグを許容範囲とする風潮もあるようです。

◆まとめ

・一周忌法要は、在りし日の故人を偲ぶとともに、故人がより解脱へと近づく事を祈り、仏様への感謝の気持ちを表すために行われます。

・一周忌法要は、故人が亡くなってから一年後の祥月命日(しょうつきめいにち)に行います。本来は祥月命日の当日に法要を行うことが理想的ですが、諸般の理由により命日よりも前の土日に行うこともあります。

・一周忌法要を行う際には、お寺への依頼と日程の決定、会場の選定、列席者への連絡、引き物・お布施・供花やお供え物の準備など、様々な対応が必要となります。

・一周忌法要の服装マナーについては、葬儀の際と同格とされています。