こんにちは。服部葬儀社 相談員の中道 剛です。
みなさんは、「お清め」と聞いて何を連想しますか?
塩をはじめ、お酒、神社、お葬式やお祓いと思われる方も多いと思います。
お通夜の参列後に自宅へ帰ってきた際に玄関先で塩を使ってお清めをしたり、火葬場から葬儀式場に帰ってきた時に塩が用意されていたりと、塩でお清めをした記憶をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
今回はお葬式でのお清めについてのお話しです。
目次
◆「お清め塩」は穢れ(けがれ)を祓う(はらう)もの
古来より「穢れ」とは死や疫病などの事をさしますが、塩はこれらを祓う効果があるとされ、自宅の玄関に「盛り塩」を置かれる方はその穢れや不浄なものが自宅に入らないようにという思いがあると思います。
塩で穢れを祓うという考えはもともと死を穢れと考える日本の「神道」(神社)の考えです。そのため神道の葬儀では、神様にお供えする神饌(しんせん)として祭壇に塩も置かれますし、火葬場から葬儀場に戻ってきた際も塩や水を使ってお清めを行います。
◆お清め方法のご紹介
葬儀式場と自宅でのお清めの方法をご紹介します。
・火葬場から葬儀式場に戻ったときのお清め
葬儀式場では、水とひしゃく、そして塩を「お清めのセット」として置いている場合もありますが、おしぼりなどで代用している式場もあります。
今回はお清めセットがある場合の手順をご紹介します。
①両手の手のひらに塩をかけ清める
②ひしゃくで水をすくいその水で手を洗う
いたってシンプルですね。しかしながら宗教や地域により方法が異なる場合がありますのでご不明な場合は現地のスタッフへお問合せ下さい。
・自宅でのお清め
自宅でのお清めは、自宅の玄関に入る前に行います。
お葬式に参列しなかった家族に外まで出てきてもらい「胸、背中、足」の順に塩をかけてもらいます。
一人暮らしや家族全員が葬儀に参列した場合は、自分で肩越しに背中に塩をかけます。そのあとは、残った塩を地面に撒いてその上を踏むようにして家に入ります。
※このような風習には絶対的な決まりはありません。それぞれの家庭や地域によって決まりがある場合はそれらにしたがう事をおすすめします。
◆お清めを行わない場合がある?
これまで穢れを祓うという事でお清めのお話をしましたが、葬儀でも行わない場合があります。
・神道以外の宗旨
前述のとおり神道では死を穢れや不浄と考えますが、仏教では死を穢れと捉えてはいません。
そのため仏教では「お葬式の際にお清めは必要ない。」と考える宗派が多くあります。それでも葬儀式場や自宅でお清めが行われているのはなぜかというと、日本古来の慣習をそのまま容認しているためその風習が残っているからだと考えられます。一方で、仏教の教えに配慮して、仏式の葬儀においては塩を使ったお清めを廃止している葬儀式場も多く見受けられます。
キリスト教では死を穢れと考えていないうえに、塩に悪いものを退ける力があるという考えもない為、お清めは行いません。
・仏教の浄土真宗系ではお清めを行ってはいけません
先ほど、仏教において「お葬式の際にお清めは必要ない。」と考える宗派が多くあるというお話をしましたが、特に浄土真宗系の宗派では、「死」そのものや葬儀式場、火葬場は決して穢れや不浄ではないという教えのためお清めに関して強く反対しており、お清めは行わないようにと提唱しています。
・無宗教の葬儀の場合
お清めは宗教の考えや慣習で行われています。無宗教の葬儀の場合は宗教が関わらないためお清めの必要性はありませんが、葬儀の考え方やルールを決めるのは喪主や遺族ですので、お清めを行う・行わないと決めるのも喪主や遺族という事になります。
◆お清めは個人の判断でもOK
葬儀に関連して、お清めが重要と考える宗教があったり、必要が無いとの立場をとる宗派があったりしますが、人々の慣習や家庭での習慣で行われることもあります。
ご自分の信仰している宗派がお清めの必要がない。とした場合でも葬儀後自宅に入る前に「お清めを行わないと不安」という事であればお清めを行っても問題はないでしょう。
宗教や宗派を問わず一番重要なのは、葬儀の後も不安を感じることなく生活を続けられる事です。
◆まとめ
・塩でのお清めは、死への穢れや不浄なものを祓う効果があると信じられています。
・もともとお清めは、日本に古くから伝わる神道において死を穢れとする考えに基づき、この穢れを祓うために行われてきましたが、仏教ではこのような考えはありません。仏教のお葬式でお清めが行われるのは、その教えに基づいているわけではなく日本に伝わる慣習として行っているだけだとされています。
・葬儀の際のお清めは、浄土真宗系では「行うべきではない」としています。無宗教での葬儀の場合は、宗教的な決まりが無いため喪主や遺族が自由に決めることができます。
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