高齢者で一人暮らしをしている方や、そのご家族は、毎日の生活で不自由に感じたり、不安に思うことがさまざまあるでしょう。

小樽市や余市町、後志地区では、北海道内で高齢者の比率が最も高く、全国的にみても高齢化が大幅に進んでいるのをご存知でしょうか?

 

【2020年度 65歳以上の高齢化率】

地域 総人口数 高齢者数 高齢化率
小樽市 111,299人 45,426人 約40.8%
余市町 18,000人 7,230人 約40.3%
後志地区 198,888人 76,421人 約38.4%
北海道全体 5,224,614人 1,664,023人 約31.8%

 

 出典:令和2年国勢調査の結果(総務省統計局)

 

なお、同年2020年の日本全国の高齢化率は『28.8%』、2023年現在は『29.0%』。私たちの地域がいかに深刻な状況にあるかがお分かりいただけるでしょう。

子供たちが地元を離れてしまうなど、やむを得ない事情がある以上、高齢者として意識しなければならないのは、「自分の身は自分で守る」という心構えです。

一人暮らしの高齢者と、そのご家族には特に気を付けなければならない注意点や、やるべき対策があるため、どうぞ参考になさってください。

高齢者が知っておくべき『健康寿命』とは?

性別 平均寿命 健康寿命
男性 81.47年 72.68年
女性 87.57年 75.38年

出典:令和4年版高齢社会白書(内閣府)

 

健康寿命とは亡くなる年齢の寿命とは異なり、継続的な医療や介護に依存することなく、自力で生活を営むことができる年齢の限界のことをいいます。

男性なら72歳、女性75歳が平均的な健康寿命です。現在は元気な方も、いつしか訪れる身体的な限界があることをしっかりと理解しましょう。

一人暮らしの高齢者における注意点8つ

独身者や家族と離れて暮らす単身者、連れ合いの配偶者を亡くした方など、一人暮らしの高齢の方には気を付けるべき注意点があるため、優先順にご紹介します。

  1. 緊急時の発見と緊急連絡先
  2. 病気・ケガにおける看病
  3. 認知症に気付きにくい
  4. お金の管理
  5. 家事の負担リスク
  6. 入院や住まいにおける保証人問題
  7. 孤独を感じたり孤立しやすい
  8. 死亡時の葬儀や納骨問題

1 緊急時の発見と緊急連絡先

孤独死は社会的に大きな問題となっています。同居する人がいない一人暮らしの高齢者にとって孤独死は、決して他人事ではありません。

日頃の安否確認はとても重要です。自宅で倒れたり、事故に巻き込まれたりした場合など、緊急時の対応を含めて、危機感を持つことが必要となります。

2 病気・ケガにおける看病

一人暮らしの高齢者は、万一の病気やケガの際、看病や介護をしてもらえないことが大きなネックです。無理をしてしまうと、症状の悪化にも繋がりかねません。

なお、介護保険の適用には条件を伴い、継続的な介護・介助が求められる要介護者として、認定を受けた人のみが対象となっています。

出典:介護保険とは(厚生労働省)

3 認知症に気付きにくい

物忘れなどがあっても家族から指摘を受けられない一人暮らしの高齢者は、認知症に気付きにくいため、気を付けなければなりません。

離れて暮らす家族との連絡は大切にし、身寄りがない人は自覚することを意識しましょう。認知症のチェックツールもあるため、試してみるのも一つの方法です。

参考:自分でできる認知症の気づきチェックリスト(東京都福祉局)

4 お金の管理

一人暮らしの高齢者は、窃盗や詐欺被害、悪徳な勧誘や押し売りなどに注意し、目先の衝動買いなどによるお金の管理にも気を付けなければなりません。

お金に関する高齢者のトラブル事例は、国民生活センターのサイトで紹介されていますので、確認しておきましょう。

参考:高齢者の消費者被害(テーマ別特集)(国民生活センター)

5 家事の負担リスク

人は加齢とともに、毎日の家事にも負担を覚えるようになるため、一人暮らしの高齢者や妻を亡くした夫は、料理、掃除、洗濯などが疎かになりがちです。

特に冬場の雪かきや、高所作業は身体的にも厳しく、危険を伴う行動は避けなければなりません。

6 入院や住まいにおける保証人問題

病院への入院、介護施設への入所、賃貸物件への入居では、連帯保証人や身元保証人、身元引受人などが必要になることが多くあります。

連帯保証人や身元保証人には、費用の滞納や万一の過失による保証責任を果たすほか、万一の際に身柄を引き取る役割があり、一般的には家族や身内に依頼します。

身寄りのない一人暮らしの高齢者は、保証金などの前払いや、身元保証サービスを利用することが必要になり、費用負担のリスクを伴うことを知っておきましょう。

7 孤独を感じたり孤立しやすい

一人暮らしの高齢者は、仕事や趣味などの生き甲斐を失ったり、老化による心身の変化から自信を失ったりすると、孤独になりがちです。

地域のコミュニティからも遠ざかって自宅に引きこもるようになると、話し相手もいなくなるため、このような孤立は安否確認の面でもたいへん危険な状態になります。

近所付き合いを大切にして、声を掛け合ってお互いを支え合うコミュニケーションを大事にしましょう。

8 死亡時の葬儀や納骨問題

近年は『終活』の一貫として、自分の葬儀や納骨先について、生きているうちに準備しておく方がたいへん増えています。

終活とは人生の終わりに向けた活動のことをいい、2023年の調査によると「終活をする意向のある」と答えた人は、『71.8%』と非常に多い結果でした。

出典:終活に関する調査(楽天インサイト)

なお、終活に関しては、「終活とは?内容やメリットなど詳しく解説」の記事で詳しく解説していますので、どうぞ参考になさってください。

高齢者のイメージ画像

一人暮らしの高齢者向けの支援サービスは4種類ある

一人暮らしの高齢者のための支援サービスは多々あります。費用を抑えて安全に対策を講じるには、身近な支援サービスの活用から検討するようにしましょう。

  • 自治体のサービスの活用
  • 成年後見制度
  • 身元保証サービス
  • 終活サービス

自治体のサービスの活用

高齢者の健康や暮らしに関する相談に関しては、まずは地域の「地域包括支援センターへ」連絡してみましょう。

また、自治体では高齢者を支援するために、次のような無料サービスやお得なサービスを提供していますので、積極的に活用することをおすすめします。

  • 見守りサービス
  • 健康診断や任意診断の割引制度
  • 趣味や活動のコミュニティ
  • 家事の支援代行
  • 交通機関や施設利用料金の割引

一方で、自治体や税務署、年金事務所などの職員を偽装する『還付金詐欺』の犯罪行為もありますので、くれぐれもご注意ください。

出典:還付金詐欺(警察庁)

成年後見制度

成年後見制度とは、高齢者が苦手な契約手続きやお金の管理について、裁判所が認めた成年後見人が法律的に支援する便利な制度で、認知症対策にも有効です。

身寄りのない一人暮らしの高齢者の方は、成年後見制度の利用を検討しても良いでしょう。

出典:成年後見制度とは(厚生労働省)

成年後見制度のメリット

  • 預貯金や不動産など、財産を管理してもらえる。
  • 介護サービスや介護施設入所の契約などを、後見人が代理で行うことができる。
  • 本人が不必要な契約をしてしまった時に、後見人が取り消すことができる。

成年後見制度のデメリット

  • 申立費用や報酬を支払う必要がある。
  • 原則として後見人を解任することができない。
  • 資産運用や相続税対策ができなくなる。

身元保証サービス

高齢者は、次の3つのケースで連帯保証人や身元保証人を求められることが多くあります。

  • 病院への入院
  • 介護施設への入居
  • 不動産の賃貸契約

一人暮らしで身寄りのない高齢者であっても、身元保証会社へ依頼することで企業に保証人になってもらうことが可能です。

費用相場は、身元保証人で約30~50万円(入会金・月額料金別途)、連帯保証で保証額の約50%(上限金額の設定あり)が一般的となっています。

ただし、契約トラブルにはくれぐれもご注意のうえ、万一問題が生じたらすぐに消費生活センターへ相談しましょう。

出典:身元保証などの高齢者サポートサービスをめぐる契約トラブルにご注意(国民生活センター)

身元保証サービスのメリット

  • 個人に身元保人になってもらう必要がない
  • 付帯サービスを利用できる場合がある

身元保証サービスのデメリット

  • 運営企業の安全性を見極める必要がある。
  • 事務管理費や身元保証料を支払う必要がある。

終活サービス

身寄りのない高齢者の方が困ってしまうのが、「自分が死んだら、火葬や納骨はしてもらえるの?」というご不安だと思います。

実は、生前に『死後事務委任契約』をしておけば、ご希望のお葬式やお墓への埋葬を第三者へ委託することが可能です。

一方で、葬儀社や霊園・納骨堂へ生前予約をしていても「誰がどのように行うか」まで準備しておかなければ、無縁仏になってしまう可能性があるためご注意ください。

死後事務委任契約のメリット

  • 本人の意思を反映した形で身辺整理を行える。
  • 身辺整理の対応漏れがなくなる。

死後事務委任契約のデメリット

  • 手続きに手間がかかる。
  • 専門家に依頼する場合費用が発生する。

※上記でご紹介したように、各種制度やサービスの利用にはメリット・デメリットがあります。十分理解した上で、ご自身の責任においてご利用ください。

【まとめ】一人暮らしの高齢者の注意点と対策方法

高齢者の一人ひとりの皆様が安全かつ安心して暮らしてゆけるようにと願い、地域の情報をお届けいたしましたが、まとめると次のとおりです。

  • 緊急時や病気など、万一の場合に備えて、健康や暮らしに関する心配ごとは、地域包括支援センターへ相談する。
  • 自治体のサービスを積極的に活用して認知症を予防し、孤独にならないように気を付ける。
  • 身寄りのない高齢者の方は、成年後見制度を利用して、生活のサポートやお金の管理をしてもらうことも可能。
  • 入院や住まいにおける保証人問題が生じたら、身元保証サービスを利用することも可能。
  • 終活によって、死亡時の葬儀や納骨の問題を生前に対策し、身寄りのない人は死後事務委任契約によって解決することが可能。

服部葬儀社では、生前のご葬儀におけるご相談を無料で承っていますので、ご不明な点やお困りごとは、どうぞお気軽にお問い合わせください。