こんにちは。服部葬儀社 相談員の中道 剛です。
お葬式を寺院にお願いしない方は、まだ余市町の周辺ではあまりありませんが、札幌市など、都市圏を中心に年々増え続けており、コロナ禍の今、拍車がかかっているようです。
今回は寺院の檀家制度をはじめ、マスコミで言われているように日本人の宗教離れは本当に進んでいるのでしょうか?その他、お寺に葬儀を依頼しない場合の注意点などのお話しをいたします。
目次
◆檀家制度とは
江戸時代(1631年)に檀家制度が確立されたとされています。
ひとつの家庭からみて、経済支援をおこなうお寺を「檀那寺(だんなでら)」と呼び、お寺側からみて、自分のお寺の経済支援を行ってくれる家庭の事を檀家(だんか)といいます。
当時の旦那寺と檀家の関係は、結びつきがとても強く、檀家は他のお寺に乗り換える事は許されていませんでした。
つまり檀家である一般民衆は、経済的にも旦那寺をほぼ強制的に支えていたという事になります。
しかし現代では当時に比べてここまで強制力はなく、経済支援もほぼ任意になりましたが、今も民衆に支えられていることには変わりはありません。
よくお付き合いのあるお寺の事を「菩提寺(ぼだいじ)」と言い、先にある「旦那寺」とは厳密には意味が異なりますが、現代では同じ意味としてとらえても問題はないでしょう。
◆お葬式はお寺に依頼するもの⁉
お葬式はキリスト教や神道などで執り行う方はもちろんいらっしゃいますが、仏教形式として僧侶にお願いすることが多いと思います。
ところが、札幌市などを中心に少し前からお葬式を僧侶にお願いしない方の数が徐々に増えつつありました。つまり僧侶などの宗教家の入らない「無宗教葬」ですね。
昨今のコロナ禍で、さらにその数は増えていっているようです。これはどういう意味なのでしょうか?
・本当にお寺離れが進んでいる?
マスコミの報道などで、寺院の件数はコンビニよりも多いと聞いたか方もいらっしゃるかもしれません。
(コンビニ店舗数55,931店舗 2021年7月度-日本フランチャイズチェーン協会より)
多くある寺院数のなか、日本国民の「宗教離れ」が進んでいるというもの。それはなぜなのでしょうか?
少し数字を見てみましょう。
【全国の寺院数(仏教系で宗教団体として登録している寺院)】
平成29年度・・・77,206寺院
令和 2年度・・・76,844 寺院
3年で362件の寺院が減っていることがわかります。
【全国の寺院の信者数(上記寺院の信者数)】
平成29年度・・・87,702,069人
令和 2 年度・・・84,835,110 人
2,866,959名、約300万人の信者数(約3.3%)が3年で減っていることになります。
この期間に日本の人口は1,381,158人が減っている(1.1%)ことを考えても確かに仏教の信者が減少方向にあるがわかります。
こちらの数字は全国でみたものです。私個人の感想としては、爆発的に減少しているわけでは無いのかな?と感じました。お寺離れは、札幌市をはじめ全国の政令都市で進んでいると感じています。余市町もそうですが、まだ地方ではさほど進んでいるとは感じません。これから寺院離れは進んでいく事になるのでしょうか。
◆寺院を呼ばずに「無宗教葬」を行った方の理由
それでは札幌市近郊で寺院を呼ばずにお葬式を行った方の代表的な声をご紹介します。
①お寺とのお付き合いがなく信仰しているものも無いから
②お布施が高いと聞いている
③檀家になるという事が負担に思う
④子供たちに負担を掛けたくない
⑤自分の代で終わり継ぐ人もいない為、仏壇やお墓・位牌などは残したくない。
⑥家族が新型コロナウイルス陽性で亡くなり、葬儀自体ができなかった(2021年8月現在)
こちらの他に「葬儀の人数が家族だけで少ないから」「縁の浅い親戚の葬儀をしなければならずお金がかけられない。」といった理由もありました。
(後半にこちらの項目の解説を行っております。)
◆無宗教葬でのトラブル事例
その方の環境によって大きく変わる事になりますが、お寺を呼ばずに無宗教葬として行った方のトラブル(デメリット)の事例をご紹介します。
・親族より僧侶を呼ばない事の理解が得られない
一番よく聞く事例は、遺族(家族)の中では納得のうえで葬儀をおこなったのですが、親族には理解を得られなかった。というものです。
ただ単に理解を得られなかっただけではなく「うちは代々○○宗なのに寺を呼ばなかったのか!」、「故人を粗末にしている」や「お経も無かったなんてお兄さんがうかばれない!」と周囲から叱責を受けてしまう場合があるという事も。ある方は、このように親族に言われて、葬儀が終わった後日にやむなく法要として僧侶にお経をあげてもらったとのことでした。
このように、家族は良くても周りが許さないという事が多々あるものなのです。
自宅に仏壇も無く、お寺とも関係が無かったとしても祖先が寺院との付き合いがあれば、祖先と同じ宗教や宗派が受け継がれるものなので注意が必要です。
また、故人が生前より「私の時は無宗教でやってほしい」と言い残された場合でも、親族の同意を得られていな事も多く、このようにわかっている場合は、親族と相談をするなり事前に準備することをおすすめします。
・無宗教では供養は不十分?
私が強く印象に残った事例としては、無宗教で葬儀を行って夫を送った方です。
無宗教での葬儀も無事に終えて、奥様は安堵もつかの間、その後の供養に悩むことになります。
寺院に依頼していれば、通常49日まで毎週僧侶が自宅でお経をあげてくれるはずですが、それも無く、「夫のために供養ができていない」と考え、寂しさと罪悪感にさいなまれたそうです。
結局この方は、葬儀後に戒名を授かって自宅でお経をいただくことになりました。
この様に葬儀後の「供養」の方法がわからず悩むかたもいらっしゃいました。
「無宗教葬」に関しての詳細は、
【無宗教葬】無宗教の葬儀とその後の供養
をご覧ください。
◆葬儀にお寺は依頼すべき?
お寺に納骨堂やお墓がある場合は、お葬式を寺院にお願いするべきでしょう。寺院の管理するお墓や納骨堂はそのお寺の檀家さんのものであるとの考えのため、お葬式をお寺にお願いしないと使用できない場合がほとんどです。
私たちは無宗教で葬儀をしっかりとあげることはできます。ご家庭にそれぞれ事情があるのは承知のうえとは思いますが、親族の事もや、その後のご供養の事を考えると「お葬式は寺院にお願いすべき」ではないかと私は考えます。
また、実際に「檀家になる」事に対して負担を感じて私たち葬儀社に「お葬式だけお願いしたいから紹介してほしい」というご遺族がいらっしゃいますが、その後の法事や納骨の時のお経をいただく際に「お葬式だけ」としてしまうと依頼がしにくいものです。将来、家族の中で別の方が亡くなり葬儀をすることになった場合でも少しでもお付き合いがあるお寺であれば安心するものです。
お寺とのお付き合いを負担と思う方は「葬儀の時だけお願します」とせずに、距離を置いたお付き合いを検討した方が良いのかもしれません。
◆無宗教葬を選択した理由の解説
無宗教葬を選ぶ方の多数は、親族を呼ばずに「火葬式・直葬」など家族のみでおこなう方が多く、葬儀に親族が多かったり、一般の方が会葬に来られる場合だったりする場合は、無宗教葬はまだ少数です。
前項にお話しした【◆寺院を呼ばずに「無宗教葬」を行った方の理由】についての解説です。
①お寺とのお付き合いがなく信仰しているものも無いから
➡前述しましたが、祖先は何かしらの宗教宗派があるはずなので、親族に確認します。無宗教を希望していることも併せて相談しましょう。
②お布施が高いと聞いている
➡確かにお布施は高額と感じられるかもしれませんが、昔と比べて、葬儀以外の経済的支援は少額になっています。
宗派や寺院によって異なりますが、僧侶一名で葬儀一切をお願いした場合は「お布施15~25万円」で、宗派によりますが「戒名料 10~30万円」、「お膳料1万円」遠方の寺院の場合は「お車代」が必要になる場合があります。不安な場合は失礼ではありませんので、寺院に相談しましょう。
③檀家になるという事が負担に思う
➡前述した「檀家制度」と現代では大きく変わっています。協力金や寄付などは強制ではなく任意ですし、お寺の行事やお掃除などがあったとしてもこちらも強制ではありません。お寺さんには叱られるかもしれませんが、少し距離を置いたお付き合いすることで負担に感じる事は無いはずです。
④子供たちに負担を掛けたくない
➡私もこれからお墓や仏壇を守っていかなければならない世代ですが、親が思っているほど子は、負担に感じない場合も多いです。逆に「引き継がれたものを守らないと」と思っているのかもしれません。しっかりとお子様と将来のお話をすべきでしょう。
⑤自分の代で終わる。継ぐ人もいない為、仏壇やお墓・位牌などは残したくない。
➡一番の問題です。将来私も仏壇やお墓を引き継ぐことになりますが、私は二人の娘だけなので、娘が嫁ぐことで引き継ぎが難しくなります。
親族に引き継いでもらうか、合葬墓(他の方と一緒にはいるお墓)で無縁仏になってしまうか考えなくてはなりません。その他、菩提寺に相談することで、解決できるかもしれないとも思っています。
⑥新型コロナウイルス陽性で亡くなり葬儀自体ができなかった(2021年8月現在)
➡病院で新型コロナウイルス陽性で亡くなった場合は、病院から火葬場まで直接行く場合が多く、家族も立ち会う事が難しい場合もほとんどです。お骨になってからのお葬式(骨葬)を検討しましょう。
まとめ
・江戸時代に確立された「檀家制度」は、民衆はお寺に対して経済支援をはじめほぼ強制的なつながりでした。現代でも民衆はお寺を支えるという事では変わりませんが、強制的なものは無くなりました。
・お葬式で僧侶に依頼しない「無宗教葬」がすこしずつ増える傾向にあります。宗教離れや地域によっては人とのつながりが希薄になり葬儀の大きさや内容が限りなくコンパクトになったことも原因のひとつと思われます。
・新型コロナウイルスで亡くなり葬儀自体ができないという事例もありますが、家族(遺族)の判断だけで「無宗教葬」を行い親族間でトラブルになる事も多々あります。
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