こんにちは。服部葬儀社 相談員の中道 剛です。

みなさま、「刀」と聞くと何を連想されますか?
「日本刀」や「武士」、「戦国時代」。なかには「物騒」と思われる方もいるかもしれません。確かに現代であれば物騒、犯罪などと連想することがあるかもしれませんね。

刀と言えば、ご遺体のそばに置かれる「守り刀(まもりがたな)」はご存知でしょうか。
「知っている」という方はそう多くないのかもしれません。
お亡くなりになって自宅などにご安置される際に「守り刀」がご遺体のそばに置かれる場合があります。
この「守り刀」はなぜ置かれ、そしてどのような意味があるのでしょうか?
今回は「守り刀」のお話しです。

 

 

 

◆守り刀(短刀)の用途と大きさ

お葬式の際にご遺体の近くに刀は、武士が腰に差している大きな刀ではありません。「短刀」をイメージしていただくと良いかもしれません。
まず「短刀」について少し触れさせていただきます。

武士社会の時代では、ご存知の通り男性の武士の腰には太刀(打刀)と脇差2本の刀を差していました。
一方武家の娘は護身用として自分の身を守るために短刀を持ち歩くことが習慣でした。さらに武家生まれとしての誇りを守るための自害をする為という意味もあったそうです。
この短刀は、懐に入れる事から「懐刀(ふところかたな)」、「懐剣(かいけん)」と呼ばれており、刃渡りは30cm以下とされています。

引用:刀剣の専門サイト・バーチャル刀剣博物館「刀剣ワールド」より

引用:刀剣の専門サイト・バーチャル刀剣博物館「刀剣ワールド」より

その他として、護身用の他にも「災いや邪悪から身を護る」護り刀(まもりがたな)としての大きな意味がありました。

 

 

 

◆様々な用途で使われる守り刀

 

・嫁入り道具として花嫁に贈られた短刀(守り刀)

嫁入り道具には「短刀」が贈られるという理由の中で かつて武家の娘が嫁入りする際に一度嫁いだら死んでも帰らない。という覚悟や、夫以外からの貞操を守るため。という意味合いもあったそうです。このような理由で嫁入り道具には「短刀」が贈られていました。

 

時が進み明治時代に施行された「廃刀令」と昭和33年に公布された「銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)」によって護身用という意味合いは無くなっていきましたが、「災いや邪悪から身を護る」護り刀としての意味は引き継がれていく事になります。

 

現代の日本とはいうと 花嫁の小道具のひとつである守り刀は、懐剣が使用されており、和装での婚礼衣装では、必ず新婦の胸元にこの懐剣は差し込まれているのです。

 

 

・神道においての刀

神道では、三種類の宝物とされている「三種の神器」があります。これは、

八咫鏡(やたのかがみ)
草薙剣(くさなぎのつるぎ)
八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

つまり、鏡・刀・勾玉(まがたま)の事をさします。神道の葬儀においては、この三種の神器は重要とされ、必ず使用します。

「三種の神器」は、日本神話で天照大神が孫であるニニギに授けたとされています。

 

日本における刀剣の歴史は、弥生時代からあるとされています。その後弥生時代末期から一部の刀は「神への捧もの」として扱われていました。

そのため、多くの神社で祀られ、刀そのものが、信仰の対象になっている神社もあるくらいです。

 

 

・皇室での「守り刀」

天皇家は、古くから日本刀と深いかかわりを持っており、とても重要なもののひとつです。

皇位継承の際もその証として「三種の神器」をはじめ、多くの刀が引き継がれています。

 

 

 

葬儀で使用する「守り刀」とは

守り刀

葬儀用の守り刀

・葬儀で守り刀の置かれる場所

葬儀でも守り刀が使われることがあります。

私たち葬儀社は、亡くなった方をご移動することから始まりますが、故人をご安置する際に「枕飾り」というお参りの道具を飾らせていただきます。
その際に、必要に応じて「守り刀」をご遺体にかかっている布団の上に刃先を足下に向けて胸元に置かせていただきます。

ただし、地域によっては、頭の上に置いたり、お布団の横に置いたりと地域によって場所が変わる場合があります。

 

ご安置の後は、ご遺体はお棺に納められますが、守り刀は柩の上、中央部分に置かれます。(地域によっては、柩の中に納められる場合があります。)

火葬用の守り刀

 

・ご遺体に守り刀を置く意味とは

ご遺体の近くに置かれる守り刀の意味合いとしては、武士の葬儀のなごりという説や、戦場で亡くなった武士の胸元に刀を置いていた。などの説がありますが、やはり前述のとおり神聖とされる刀によって「災いや邪悪から身を守る為」でしょう。亡くなった方の魂が抜けることによって無防備になるためとも言われています。

やはり刀は身を守るためのものなのでしょうね。

 

 

 

◆守り刀を使わない葬儀がある?

前述では、刀は葬儀以外でも様々な用途で使われ、さらに邪悪なものから故人を守るために守り刀を置くとお話ししましたが、宗教上の理由で使用しない場合もあります。

キリスト教は使用しませんし、仏教では浄土真宗系は守り刀を使いません。

 

仏教のほとんどの宗派は守り刀を使用しますが、同じ仏教なのになぜ浄土真宗系は守り刀を使わないのでしょうか。

浄土真宗には「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」という考えがあるからです。これは、阿弥陀如来に導かれてすぐに成仏するという考えです。つまりすぐに成仏することができるので「災いや邪悪から身を守る必要が無い」のです。

 

 

みなさまいかがでしたでしょうか。以上が「守り刀」についてのお話しでした。

お葬式では守り刀の他にも、ご宗旨宗派にあわせて様々な宗教道具が用いられます。
服部葬儀社では全ての宗旨宗派に対応しておりますので、必要な準備をしっかりとさせていただいております。
お葬式のことでご不安なことがありましたら、ご相談をお受けしておりますのでお問合せをお待ちしております。

 

 

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