年金受給中の人が死亡すると、年金を受け取る資格がなくなるため、早めに「死亡したこと」を届け出る必要があります。
この知識が無い方は、年金を受け取っている配偶者や親が亡くなった後、「年金はどうなるのだろう」「何か届け出が必要なの?」という疑問を持つかもしれません。
また、手続きのタイミングによっては本来受け取るべきではない年金が振り込まれてしまい、「どうしたらよいか分からない…」と困惑してしまう可能性もあります。
今回は、年金を受給していた家族が死亡した際の届出などについて詳しくお話していきたいと思います。
残された配偶者や家族が受け取れるかもしれない「未支給年金」「遺族年金」についても解説しますので、これらについても適切に申請・手続きを行いましょう。
目次
年金受給者が死亡~おこなうべき届出とは?
年金を受給中の家族が亡くなった後に“やるべきこと”は、死亡したことを報告するための届出です。
死亡すると受給資格がなくなるので届出をする
年金を受給していた本人が死亡すると受給資格がなくなりますが、それを届け出ずに家族がそのまま年金を受け取ると、不正受給となってしまいます。
「忙しくて届出が間に合わなかった」というケースもあるかもしれませんが、死亡した後、何か月も受け取り続けるのは罪に問われる行為です。年金受給者が死亡した後は、その旨を届出ることが大事です。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は届出が不要です。自治体に「死亡届」を出すと自動的に年金がストップされることになります。
とはいえ、故人の年金状況がいまいちよく分からないご家族様も多いかと思います。まずは、年金事務所に問い合わせて相談してみるといいかもしれませんね。
手続き先は受給中の年金の種類で変わる
年金にはさまざまな種類があります。
それぞれ以下のように手続き先が異なります。
- 国民年金だけ(自営業など)⇒ 自治体の国民年金課
- 国民年金+厚生年金(会社員など)⇒ 年金事務所
- 国民年金+共済年金(公務員など)⇒ 共済組合
「年金を受け取っていた人が死亡した」と、まずは各自治体や年金事務所、ねんきんダイヤルに電話で問い合わせてみましょう。
共済年金(公務員など)の場合も、共済組合に電話などで連絡して指示をあおぐことをおすすめします。
手続きは10~14日以内に行うこと
年金を受け取っていた人が死亡した場合、できるだけ早めに死亡手続きを行いましょう。国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に届出をすることになっています。
手続きの際に準備しておきたいもの
電話で問い合わせをする際は、以下の物を手元に準備しておくことをおすすめします。
- 年金証書番号・年金証書など年金に関する書面
- 死亡したことが分かる書類(死亡届や住民票の除票など)
連絡や手続きの際に、こういった書類があるとスムーズです。
これらに加え、手続きの際には「死亡届の用紙」が必要になりますが、年金の種類ごとに入手先も異なります。国民年金の窓口やインターネット上からダウンロードできるケースもあれば、手続き先から必要書類が送付されるケースもあります。問い合わせの際に「手続きに必要な書類」についても詳しく確認しておきましょう。
遺族年金を受給していた場合はどうするの?
過去に配偶者の死亡により遺族年金を受給中の人が亡くなった場合も、死亡の届出が必要です。たとえば、「父の死後、遺族年金を受給していた母が死亡」といったケースなどです。
こちらも、必要書類や手続きの詳細は年金の種類ごとに異なるため、まずは問い合わせをしてみましょう。
年金支給のタイミング
年金について「2か月に1回の支給」ということをご存知の方もいるのではないでしょうか。年金がどのタイミングで支払われるのかを簡単にご説明していきます。
年金は日割りではない
年金の支給は「月ごと」で日割りではありません。
【年金の支給イメージ】
支払い対象の月 | 年金支給月 |
---|---|
2月・3月分 | 4月 |
4月・5月分 | 6月 |
6月・7月分 | 8月 |
8月・9月分 | 10月 |
10月・11月分 | 12月 |
12月・1月分 | 2月 |
- 支給日は2か月に1回
- 毎年偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の「15日」に支給される
- 「前月・前々月の分」が振り込まれる
- 支給日の15日が土日祝日と重なった場合は、その前日の“平日”が振込日
年金支給は「日割り」ではなく、「月単位での支給」です。そのため、月の途中で亡くなっても“当月分”の年金は受け取ることができるのです。同じ月の「1日に亡くなった」場合も「31日に亡くなった」場合も、その月の分として満額支給されます。
以下では亡くなった日と年金支給日についての実例をご紹介します。
●ケース1:2月1日に亡くなった場合
・2月分が「4月15日」に支給される
●ケース2:3月1日に亡くなった場合
・3月分の年金は受け取れるため、「2月分+3月分」が「4月15日」に支給される
●ケース3:4月1日に亡くなった場合
・2月分、3月分が「4月15日」、4月分が「6月15日」に支給される
上記のように、亡くなった日によって、受け取れる年金は異なります。詳しくは問い合わせ時にしっかりと確認しておくことをおすすめします。
亡くなった後に年金が振り込まれたら受け取っても大丈夫…?
年金受給者が亡くなった後、早めに手続きを済ませれば、本来もらうべきではない“死後の分”の年金が振り込まれることはないかもしれません。ですが年金は、2か月に1回支給されるため、「死亡した日・届出日」のタイミングによっては余分に振り込まれることもあります。
たとえば、年金受給者が死亡した日が“月初め”であれば、手続きが間に合うこともありますが、“月終わり”だと手続きが間に合わずに翌月分が振り込まれる可能性も考えられます。
つまり、死亡の届出が遅くなると「本来もらってはいけないはずの年金」が振り込まれることもあるので、注意しなければなりません。
多く貰い過ぎた場合は、たとえ振り込まれても返還しなければならないため、故人が死亡した後に早急に手続きしましょう。
遺族がもらえるお金もある?
年金受給中の方が亡くなった際、その後に遺族が請求できるお金もあります。
- 未支給年金
- 遺族年金
- まだ年金を受給していない人が亡くなった場合
未支給年金
前述したように、年金は「2か月分をまとめて偶数月に支給」という仕組みになっています。そして、死亡しても亡くなった当月分は振り込まれます。
ただし、死亡後に銀行口座が凍結されると、もらえるはずの年金が振り込まれません。
そこで遺族が“未支給年金”として請求できるケースがあります。基本的な条件は「亡くなった人と同一生計の家族」ですが、ほかにさまざまな条件を満たしている必要があります。死亡の届けを出すときに、詳しく説明を聞きましょう。
遺族年金
国民年金や厚生年金などを受給していた人が亡くなった後、家族が遺族年金を受給できる可能性があります。こちらも「生計が同じ」という条件がある他、年収の制限もあります。
通常、遺族年金を受けられるのは、故人の収入を中心に暮らしていた遺族で「配偶者・子供・父母・孫」などです。
“妻”が受給する場合は年齢の制限がないものの、それ以外の家族は「18歳未満の子供」「55歳以上の夫・父母・祖父母」などの年齢的な条件があるので、詳しくは問い合わせするか、届出の際に聞いてみるとよいでしょう。
まだ年金を受給していない人が亡くなったとき
年金受給の年齢に達していない家族が死亡した際も、条件が合えば家族が遺族年金を受け取れることもあります。
加入年数(保険料納付済の期間)や滞納の有無などによって、支給要件を満たすかどうかが異なるので、詳しくは確認が必要となります。
たとえば、亡くなった人の“妻”が受給できる「寡婦年金」は、主な支給条件が以下のように定められています。
- 婚姻関係が10年以上ある
- 年金保険料を10年以上納めていた
- 60~65歳までの妻
また、国民年金保険の納付を3年以上行っており、なおかつ「年金をまだもらっていなかった」という状況なら“死亡一時金”の支給対象になります。遺族年金と違い、継続的な支給はありませんが、手続きにより「一時金」を受け取ることが可能です。
ただし、こちらも細かい条件があり、受給できるかどうかはケースバイケースです。詳しくは、各相談先に聞いてみることをおすすめします。
まとめ
年金受給中の人が死亡すると「受給資格」はなくなります。死亡した届出をせず放置していると、意図せずに不正受給となる可能性もあるため注意しなければなりません。
死亡後の年金の手続きについては、加入していた年金の種類によって問い合わせ先等も異なります。まずは故人の年金手帳を探し、問い合わせてみることをおすすめします。
また、家族が遺族年金等の受給ができるケースもあるため相談してみましょう。
とはいえ、大切な家族が亡くなると、さまざまな手続きに追われ、年金の手続きが後回しになることもあるかもしれません。
故人の遺品のなかから年金手帳に関する情報を探そうとしても「書類の在処が分からない」ということもありますよね。遺品を整理していると悲しい気持ちになり、その中で「あれもこれもやらなければ…」と事務的な手続きを1人で抱え込むのは相当大変です。
できるだけ早めに手続きができるよう、遺族のみなさんで情報を共有しながら進めていきましょう。
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