こんにちは。服部葬儀社 相談員の横尾です。

 

家族が病院などで亡くなった場合には、ご遺族は私たち葬儀社へ連絡を行い、ご遺体のお迎えと、その後のご安置が必要です。

ご遺族からご連絡をいただいた際に私たちは、お迎えに伺う場所や故人様のお名前等々を伺いますが、その中でも宗旨(宗教)・宗派も必要となる為、併せてお聞きします。

ご遺族は慌てているという事もありますが、「宗派はわからない」とおっしゃる方が意外に多いものです。

日常の生活で宗派を聞かれた場合は、「わからないなー」と終わってしまう事があるかもしれませんが、家族が亡くなった場合はそうはいかず、とても慌ててしまうものです。

このように宗派がわからない場合はどのように調べればよいのでしょうか。

今回は特に宗派の数がとても多い仏教を前提として、宗派がわからない場合の対処についてのお話しをいたします。

 

◆宗旨(しゅうし)と宗派(しゅうは)について

キリスト教の教会や神道の神社などとお付き合いがある場合は、ミサや参拝で赴くことが多いうえ、宗派的な種類は少なくわかりやすいのですが、仏教では宗派も多く、お寺に行った事がない家族では、宗派を正確にいえることは難しいのではないでしょうか。

宗派のお話をする前に宗旨と宗派についてご案内します。

・宗旨(しゅうし)とは

一般的に宗旨とは、信仰している教義。つまり仏教や神道・キリスト教などの宗教の種類とされています。(宗旨の解釈として、一つの教義の中の種類とされる場合もあります。)

 

・宗派(しゅうは)とは

ひとつの宗教(宗旨)の中で別れて派生したものをいいます。例えば宗旨を仏教としたときに宗派は、浄土真宗本願寺派や曹洞宗などをさします。

 

 

 

◆宗派がわからないとなぜ困るの?

普段の生活で宗派がわからない場合には特に困ることはないかもしれませんが、葬儀を行う事になった場合はそうはまいりません。

 

・宗派によって異なる枕飾り

亡くなった場所からご安置場所に移動します。仏教の場合では線香ろうそくなどを置いた「枕飾り」を設置します。実はこの枕飾りは宗派によって使用するものが変わってくるのです。

葬儀社が枕飾りを準備する事になるため、ご安置前には正確な宗派が必要なのです。

 

・ご安置後には枕経(まくらきょう)をあげてもらいます

亡くなったあとには、できるだけ早くにいただく最初のお経、つまり枕経があります。

寺院とお付き合いがあったり、いつもお参りで自宅に来ていただいたりする僧侶がいる場合は、その菩提寺に連絡することで枕経に来ていただき、その後のお葬式の依頼も兼ねます。

一方、仏教徒の場合でお付き合いのある寺院が無い場合には、新たに葬儀を依頼する寺院にお願いする必要があります。各寺院にはそれぞれの宗派があり、この時に宗派がわからなければ寺院を選ぶことができず、依頼することができないのです。

 

 

 

◆葬儀後に別の宗派を変えるのは難しい?

一度お葬式を行った宗派を後から別の宗派に変える事は、実は簡単な事ではありません。もし宗派を変えたい場合は、故人につけられた戒名を新たに付け直さなければならない場合があります。つまりお葬式で使われた戒名が全く変わってしまうという事です。

また、その寺院の境内にお墓や納骨堂を用意してしまった場合では、お寺を変えるという事はもっと難しくなる事でしょう。

このような事から「宗派がわからないから、とりあえずお寺はどこでも良い」という事は避けるべきですね。

 

 

 

◆寺院名と宗派は事前に確認を

家族が亡くなりご安置が済み次第、枕経や葬儀日程などの最終決定は寺院が行う為、寺院に連絡する必要があります。

「亡くなったおばあちゃんが、いつもお寺に連絡していてお寺の名前や連絡先がわからない」という方もいらっしゃいます。

 

 

・寺院とのお付き合いが「ある場合」

いつも自宅に来ていただいているなど、お付き合いのある寺院がある場合では、

*寺院の名称
*宗派
*連絡先の電話番号

寺院に訪ねても決してして失礼ではありませんので、以上の事は最低限確認しておくようにいたしましょう。

また、浄土真宗系で、「門徒」や「お西・お東」という場合はありますが、こちらは宗派名ではありません。

 

 

 

◆寺院とのお付き合いが「無い場合」の宗派の調べ方

ご自分の家の寺院や宗派を調べる際の目安として「仏壇」があるか無いかで分けて考えてみましょう。

・自宅に仏壇がある場合

過去に寺院とのお付き合いがあったはずです。
このような場合では、できる限り過去にお付き合いがあった寺院をおすすめします。

仏壇の引き出しや周辺に寺院名の書いた書類やカレンダーなどがあるかもしれませんので探してみるとよいでしょう。

また、父方の兄弟(できれば家督を継いだ長男)などに聞いてみるのも良いかもしれません。

 

仏壇中央には「本尊」が必ずあります。これらは宗派によって異なる為、ある程度宗派の特定が可能となりますが、改宗していたり間違っていたりする可能性もあるので、目安程度に考えていた方がよいかもしれません。

寺院名がわかれば、電話連絡を行い寺院に直接宗派を聞くと確実です。

 

 

・自宅に仏壇がない場合

おそらく自宅に僧侶が来たことが無かったと思われます。

宗派は代々引き継がれているものです。父方の兄弟またはその家系の親族がいる場合には、寺院とのお付き合いがあれば宗派を確認します。また、その寺院が自宅近郊にある場合は依頼しやすいと考えられますし、初めての場合でも親族とのつながりがある為、スムーズです。その寺院の名称、場所や連絡先を確認しておきましょう。

 

親族がお付き合いしている寺院が遠方の場合は、そのお寺から自宅近くの同じ宗派の寺院を紹介していただくか、または正確な宗派を確認のうえ、ご自分で寺院を探す方法もあります。ただし、慣れない方には少々大変かもしれません。

服部葬儀社では、宗派をお知らせいただくことで、寺院に関するご相談やお手配も可能です。遠慮なくお声をおかけください。

 

 

 

◆不幸がおきる前に宗派は調べておきましょう

宗派がわからない場合は父方の兄弟など親族にお聞きすることをご紹介しましたが、もし調べる前に家族が亡くなってしまい、それも深夜だった場合には親族に連絡がつかない事も考えられます。

先にお話ししたとおり、「とりあえずどこの寺でもいいや」という事にはなりません。

万が一の時に慌てないように余裕をもって、事前に考えておくことをおすすめします。

 

 

 

◆まとめ

・家族が亡くなり、仏教式で葬儀を希望したとしても宗派や寺院名が不明であれば、僧侶を呼ぶこともできず、葬儀日程をも決めることができません。

・葬儀が終わった後に宗派が違っているとしても宗派を変える事は困難です。間違えないように時間のあるうちに正確な宗派を調べておくことをおすすめします。

・ご自分の宗派がわからない場合は、父方の兄弟などの親族に確認しましょう。また、万が一の時にでも慌てないように事前に調べることをおすすめします。