葬儀後にやらなくてはいけない遺品整理では、いつやるべきなのかタイミングや手順に悩む方もいらっしゃるでしょう。
故人の気持ちや周囲の目が気になり「早すぎると残酷かな…」と感じたり、「放置しておくとどんな問題があるの?」と、疑問を持ったりすることもあると思います。
そこで本記事では、遺品整理の最適なタイミングと手順について、詳しくご紹介いたします。
さらに、遺品整理では知っておくべき注意点もあるため、遺族の方々は着手する前にぜひお目通しください。
目次
遺品整理のタイミングには3つのポイントがある
遺品整理をいつ行うべきなのか、タイミングを決めるにあたっては、押さえておきたい3つのポイントがあります。
- 始める時期よりも終わらせる時期が大事
- 家族や親族の承諾があれば葬儀後すぐでも構わない
- ゆとりのある計画を立てる
1.始める時期よりも終わらせる時期が大事
遺品整理は、いつからいつまでにやらなくてはならないというルールはありません。ただし、四十九日忌に「形見分け」を行うことが時期の目安となります。
また、四十九日法要までに終わらせるなど、事前に日程を決めておけば、遺品整理の作業を速やかに進めることができるでしょう。
一方で、大切な故人の遺品の処分は精神的にダメージが大きいため、難しい場合は無理をしないでください。
2.家族や親族の承諾があれば葬儀後すぐでも構わない
葬儀後すぐに遺品整理を始める場合は、相続人や故人の血縁者にあたる人たちに対して、事前に承諾を得るようにしてください。
ルールはないとはいえ、悲しみも癒えないうちに遺品整理を始めると、薄情な人だと思われてしまったり、「現金や高額な遺品を独り占めするのではないか」と不信感を抱かれて相続トラブルに発展したりする可能性があるためです。
遺品整理は次のような理由で、急がなくてはならないケースも多くあります。
- 故人の住まいが荒れていて近所迷惑になりかねない
- 遺族が遠方に住んでいる
- 仕事などで遺族の日程調整が難しい
また、誰も住まなくなる故人の自宅なら、盗難などのトラブルに備えて、財産にあたる通帳や貴重品などをすぐに持ち出した方が安心できるでしょう。
さらに、親族が揃っている時の方が作業が捗るメリットもあるため、遺品整理は葬儀後すぐに着手した方が良い場合もあります。
早期に着手すること自体は問題ないため、ナイーブな方々への気遣いやマナーとして、周囲に声をかけてから遺品を整理してください。
3.ゆとりのある計画を立てる
他人の持ち物は何がどこに収納されているか把握しにくく、遺品の分類に時間がかかるケースが多いため、遺品整理はゆとりのある計画を立てましょう。
遺品整理では、写真や思い出のある品物の発見に作業の手が止まったり、処分に迷いが生じたり、作業が進みにくい傾向があります。
さらに、葬儀後は故人に関する手続きや、弔問客への対応、香典返しや四十九日法要の準備など、やるべきことが非常に多いです。
スケジュールにゆとりがなく期限が迫ると、大事な遺品を見逃して一気に遺品を処分しないといけないため、賃貸住宅の解約時期なども余裕を持ちましょう。
遺品整理を四十九日前に済ませる5つのメリット
遺品整理は四十九日前に終わらせることで、次のような5つのメリットを得られます。
- 気持ちの整理がつきやすい
- 四十九日法要で形見分けができる
- 相続人同士で話し合いができる
- 支払期日を厳守して費用の削減ができる
- 忌引き休暇を活用できる
1.気持ちの整理がつきやすい
遺品整理は、忌明けを迎える四十九日を目標に完遂することで、気持ちの整理がつきやすくおすすめです。
- 仏教:四十九日忌(浄土真宗を除く)
- 神道:五十日祭
- キリスト教:カトリック・30日後の追悼ミサ/プロテスタント・1ヶ月後の召天記念日
忌明けとは、忌中が明けて通常の生活に戻る日をいい、遺族が悲しみや未練を断ち、前を見て歩んでゆくタイミングにあたります。仏教では故人が冥土を旅する期間を忌中とし、神道では死の穢れを他人にうつしてしまう期間を忌中としています。キリスト教には忌中はありませんが、追悼ミサや召天記念日を目安とするとよいでしょう。
目安を定めないと、故人がいないことによって遺品に対して執着心が込み上げるケースもあるため、宗教的な意味合いから四十九日は最良です。
2.四十九日法要で形見分けができる
親族や故人の親しい人たちが集まる四十九日法要は、形見分けにふさわしいタイミングです。
法事の会食の席や、一連の行事が終わった後に形見分けとして、遺品を分けてあげると良いでしょう。
なお、形見分けにあたっては、事前に誰に何をあげるかをリストアップしておきます。相手に選んでもらう場合は、事前にお手入れを済ませておきます。
当日持ち帰らずに、後日の引き渡しとなる場合は、品物に名前と連絡先を記したメモを貼っておくと、間違いを防ぐことができ、引き渡しまでスムーズです。
3.相続人同士で話し合いができる
遺産相続や貴重品の形見分けは、相続人同士で話し合わないと揉め事になる可能性があるため、四十九日は最良のタイミングです。
分け合うべき遺品は、事前にリストアップしておき、相続人全員で話し合って継承する品物を決定しましょう。
4.支払期日を厳守して費用の削減ができる
速やかに遺品整理を行って、必要な支払いの精算や解約手続きをすれば、滞納金の発生や無駄な費用の出費を抑えることができます。
たとえば、相続税は故人の死後、翌日から10ヶ月以内に申告する義務が定められています。
さらに、相続放棄をする場合には、3ヶ月以内に申し出を行わなくてはなりません。
相続税が発生するかどうかはシミュレーションで確認できるため、分からない方は以下のサイトで試してみると良いでしょう。
そのほか、次のような支払いに関する請求書や契約書を確認して精算のうえ、速やかに解約手続きを行う必要があります。
- 家賃
- 光熱費
- 住民税・自動車重量税などの税金
- 携帯電話やインターネット利用料
- 加入していた会員サービスなど
5.忌引き休暇を活用できる
一般的に企業や学校では、忌引き休暇が付与される仕組みがあるため、普段忙しい方でも葬儀後は遺品整理がしやすいでしょう。
夜間の騒音は近所迷惑になるほか、ゴミ収集日は地域のルールに従わなくてはならないため、平日の日中に行うべき作業は手際よく進めてください。
遺品整理をスムーズに進めるコツは7つの分類方法にある
遺品整理にあたって、多くの遺品を素早く片付けるコツは、品物を7つに分類することです。
- 遺言と遺志:遺言書・エンディングノート・遺書
- 財産関連:現金・通帳・有価証券・保険証券・契約書類・印鑑
- 貴重品:貴金属・骨董品・美術品・着物・ブランド品・パソコン・携帯電話
- 思い出の品:写真・故人の愛用品など
- リサイクル品:車・家具・家電・ワイン・本・フィギュアなどのコレクション
- 処分品:寝具・食品・下着・靴・生活用品など
- 保留する品:衣類などで処分に迷う物
分類ごとに部屋や置き場所を決めて、品物をまとめると、手際よく整理できます。大型家具など運びにくい品物は、分類名を書いてメモを貼っておきましょう。
遺品整理の手順7つ
遺品整理は、次の7つの手順に沿って進めるとスムーズに作業が捗ります。
- 遺言書やエンディングノートの内容を確認する
- 遺産相続をするか相続放棄するかを決める
- 遺品を分類する
- 遺産分割協議を行う
- 形見分けをする
- 不用品を処分する
- リサイクル品を売却する
1.遺言書やエンディングノートの内容を確認する
遺品は、故人が誰に何を託すかを生前に決めている場合があるため、事前に遺言書やエンディングノートの内容を確認します。
遺言書とエンディングノートの違いは法的効力の有無にあり、遺言書に記載されている内容は守らなければなりません。
一方で、エンディングノートや口頭で故人の遺志を確認した場合には後々トラブルにならないよう、相続人全員による承諾のもと、遺品を承継しましょう。
2.遺産相続をするか相続放棄するかを決める
基本的に遺品は遺産相続をするか否かによって、継承できるかどうかが決まるため、相続放棄をする人は遺品に触れないようにします。
というのも、高価な遺品のみならず、家具や家電、本や衣類など多くの品物は売却が可能なほか、相続放棄をすると故人が支払うべき費用負担の義務もありません。
負の財産を含めて、すべて遺産相続をする人の権利にあたることを知っておきましょう。
3.遺品を分類する
遺品整理は前述で解説したように、7種類の品物の分類によって作業を進めるとスムーズに捗ります。
葬儀後にすぐ手続きしなくてはならない書類などをはじめ、大切なものは紛失しないよう、整理しながら分類してください。
なお、葬儀後に必要なことや手続きについては「葬儀後の流れとすべきこと〜お礼と挨拶〜」の記事でご紹介していますので、参考になさってください。
4.遺産分割協議を行う
遺言書がない場合、遺品に関しては、相続人全員で誰が何を継承するか、遺産分割協議を行いましょう。
相続人の対象となるのは、まず配偶者で、次に子供たちですが、子供が亡くなっている場合にはその家庭の孫たちに権利があります。
遺品は故人の遺志をはじめ、相続人全員が納得して分け合うことが大切です。後々になって揉め事にならないよう、必ず全員で話し合いましょう。
5.形見分けをする
親族や故人の親しい人たちへ形見分けを行う場合には、注意すべきことが4つあります。
- 四十九日法要後に行う
- 目上の人には渡さない
- 高価なものは贈与税対象のため渡さない
- 遺品は包装をしない
上記のマナーを守って、相手を不快にさせないように、ご注意ください。
6.不用品を処分する
分類した品物のうち、不要品に関しては地域のルールに従って、粗大ゴミやゴミ収集を利用して廃棄します。
遺品整理業者もありますが、処分や清掃には大きな費用が発生するため、できるだけ遺族で力を合わせて、自分たちで対処しましょう。
7.リサイクル品を売却する
遺品のうち、不要であっても売却できそうな品物は、複数のリサイクルショップや買取業者へ見積取得をしてから売却しましょう。
特に、骨董品や美術品や着物やブランド品は、業者によっても買取価格に差があるため、納得のできる価値を見定めてください。
まとめ:遺品整理は四十九日までに済ませるのがおすすめ!
遺品整理に関して、タイミングやコツをご紹介しましたが、ポイントをまとめると次のとおりです。
・遺品整理は四十九日までに済ませると、気持ちの整理がついて、形見分けもスムーズにできる。
・相続後すぐに遺品整理をする場合には、相続人全員の許可を得る。
・遺品整理は相続や手続きに必要なものや、廃棄するもの、売却するものなど、7つに分類すると後々までスムーズに片付けられる。
余市郡や小樽市などでは、高齢者でゴミの廃棄処分にお困りの方を手助けするサポートを行っています。お困りの方は、ぜひ地域の制度を活用しましょう。
余市町民生部環境対策課
連絡先:0135-21-2118
小樽市生活環境部清掃事業所
連絡先:0134-22-3854または0134-32-4111
なお、死後の遺品整理に家族が困らないよう、最近は終活の一貫として、生前整理を行う方が増えています。
服部葬儀社では、終活のご相談を承っていますので、不明点や悩み事など、お困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
▼服部葬儀社の斎場や特長をご覧ください。
▼①お名前②フリガナ③ご住所を入力し「送信する」をクリックするだけで、資料をご請求いただけます。