こんにちは。服部葬儀社 相談員の横尾です。
時代の流れとともに葬儀も多様化していますが、日常生活の中では、多様化した葬儀の種類について知る機会は無いかもしれません。
葬儀の種類について知識を得ることで、それぞれのご家庭に適した葬儀を選ぶことができると思いますので、今回はお葬式の種類について詳しくご紹介します。
目次
形式による葬儀の種類
一般葬
一般葬は、家族や親戚だけでなく、友人・仕事関係者・近所の方など、故人と関わりのある方々に広く周知して行われる葬儀形式です。家族葬が普及する以前は、葬儀と言えば一般葬で行われており、家族だけで葬儀を行うことは稀なケースだったようです。
たくさんの方が参列することを前提として準備を行う一般葬は、故人が社交的で、広い交友関係を持っていた場合や、現役で仕事をしていた場合などに適した葬儀形式といえるでしょう。
一般葬行う際は比較的広い会場を使用して、その広さに適した大きな祭壇を用意したり、多くの参列者への香典返しを用意したりする必要があり、葬儀費用が高額になる傾向があります。ですが、いただく香典も増えるため、喪主が負担する金額について、一概に家族葬よりも高額になるとは限りません。
家族葬
家族葬は一般的に、家族や近しい親族のみが参列するお葬式と認識されていますが、実は厳密に定義されているわけではなく、友人が参列する家族葬もあれば、同居家族のみが参列する家族葬もあります。
家族葬を希望する場合は、参列のお声がけをする方にのみ連絡を入れ、新聞のお悔やみ欄への掲載は、葬儀終了後の終了掲載とするか、新聞掲載自体を行わないという方法が一般的です。なぜそのような対応をするかと言うと、葬儀の連絡を受けた方やお悔やみ欄を見て葬儀が行われることを知った方は参列を希望する場合が多いため、一般葬のように事前に周知してしまうと家族葬を行うことが難しくなる場合があるからです。
家族葬は2000年頃から徐々に広まり始めた葬儀形式で、一説によると1995年に阪神淡路大震災で多数の犠牲者が出た際に、従来の葬儀のように多くの人が参列することが難しかったため、小規模な葬儀が行われたことがきっかけとなったと言われています。
一日葬
ここ数年で増加してきた一日葬は、通夜を行わない葬儀スタイルです。通夜は行いませんが告別式と火葬は通常通り行います。
通夜を行う一般的な葬儀と比較して会場使用料が抑えられること、家族や親族のみで行われるケースが多いことなどから、葬儀費用が抑えられる傾向にありますが、寺院などの宗教者が一日葬に対応していない場合があることや、周囲の理解が得られない可能性があることから、宗教者や親族に対して事前に相談しておくことが大切です。
直葬・火葬式
直葬・火葬式はお通夜や告別式を行わず、火葬の準備と火葬のみを行う葬儀形式ですので、基本的に宗教儀礼やセレモニーは行われません。
さまざまな理由や考えから葬儀に予算をかけられない、かけたくないという方に適した葬儀形式ですが、寺院の読経ができない場合があったり、周囲の理解が得られなかったりするケースもあるため、菩提寺や親戚に相談するなどして、事前によく検討することをおすすめします。
密葬
密葬は家族葬と同じように、遺族、近しい親族、故人と関わりが深い方のみが参列し、一般会葬者は参列しない葬儀ですが、家族葬と違う点は後日改めて本葬を行うということです。家族葬を行った場合、基本的に後日本葬を行うということはありませんが、密葬の場合は、一般の方が故人とお別れをする機会を設けるために本葬を行います。
有名人や著名人が亡くなった時などに一般葬を行うと、参列者が多くなってしまい、近親者が故人とゆっくりお別れする時間を取ることが難しいといった理由から、密葬が行われることがあります。
内容による葬儀の種類
宗教儀礼を行う葬儀
日本で行われる葬儀の多くは仏式で、僧侶による読経や焼香などが行われます。一口に仏教と言っても多くの宗派があり、葬儀の内容は宗派によって異なります。仏式の葬儀以外に宗教儀礼を行う葬儀は、神道式、キリスト教式などがあり、宗教の種類によって行われる儀礼やマナーは異なります。
宗教儀礼を行わない無宗教葬
宗教儀礼を行わない葬儀を無宗教葬と言います。僧侶などの宗教者を呼ばず、読経などの宗教儀礼も行いません。
無宗教葬は近年少しずつ増加傾向にありますが、菩提寺(お付き合いのあるお寺)があったり、お寺が管理するお墓や納骨堂に納骨したりする場合、無宗教の葬儀を行うことは難しくなりますので、お寺や納骨場所について事前に確認しておくことが大切です。
無宗教葬では宗教儀礼を行わないため、事前に式次第について検討しておくことで、納得できる葬儀内容を実現することが可能となります。
音楽葬
故人が好きだった音楽や縁のある音楽を流したり、ピアノなどの楽器を演奏したりする葬儀を音楽葬と言います。
宗教儀礼を行わない無宗教葬として行われることが一般的ですが、中には仏式葬儀などの宗教式に取り入れるケースもあります。音楽葬を希望する場合は、事前に葬儀を行う葬儀社に相談しておくことをおすすめします。
その他の葬儀の種類
自宅葬
自宅葬は自宅で行う葬儀です。現在、多くの葬儀は葬儀用に作られた施設で行われますが、自宅で葬儀を行うことも不可能ではありませんし、実際、少なからず自宅で葬儀を行う人はいます。ですが、一般的な住宅は一度に多人数を収容するスペースや駐車スペースの確保が難しいため、自宅葬は限られた参列者が参列する葬儀となることがほとんどです。
対応できる人数が限られることや、自分たちの作業負担が増えることはデメリットかもしれませんが、住み慣れた自宅で心置きなく過ごすことができると共に、葬儀会場の利用料が抑えられることはメリットと言えるでしょう。
社葬
企業が主体となって執り行う葬儀を社葬と言います。会社の創業者、社長、役員などが亡くなった際に行われることが一般的です。
通常の葬儀では、遺族が喪主と施主を兼任することが一般的ですが、社葬では基本的に遺族が喪主を行い、施主は会社が務めます。
社葬は一般の葬儀と同様、故人への弔意を表す場であると同時に、社内外に対して広報的な役割を担うものでもあります。故人の功績を称えたり、後継者を紹介したりするための場でもあるということです。
施主を企業が担う社葬の他に、遺族と企業が合同で執り行う「合同葬」という葬儀もあります。基本的に社葬は遺族が密葬を行った後、改めて執り行うことになりますが、合同葬の場合は密葬を行わず、合同葬のみとすることが一般的です。
福祉葬
福祉葬は葬祭扶助という生活保護制度を利用して行う葬儀です。生活保護を受けていて生活に困窮している方が亡くなり、故人の遺族も生活保護を受給しているため葬儀の費用が用意できない場合などに、葬祭扶助を申請して福祉葬を行うことが可能です。
葬祭扶助制度で支給される金額は、葬儀をする際に最低限必要となる費用であるため、通夜・告別式の費用や読経料・戒名料、祭壇花などの費用は含まれていません。支給額は自治体によって異なりますが、大人209,000円以内、子ども(12歳未満)167,200円以内が基準となります。
まとめ
葬儀には、形式による種類や内容による違いがあり、納得できるお別れの時間を過ごすためには、状況に適した葬儀を選ぶ必要があります。