こんにちは。服部葬儀社 相談員の横尾です。
皆さんは、「告別式」と聞いてどんなシーンを思い浮かべるでしょうか。弔事を読み上げるシーンや喪主挨拶のシーン、読経や焼香の様子が頭に浮かぶのではないでしょうか。ですがこの中には、告別式には当たらないシーンが混ざっています。
今回は告別式とはどのようなものなのか、流れや必要な準備などについて詳しくご紹介します。
目次
告別式とは?
本来「葬儀式」と「告別式」はそれぞれ別の意味を持つ儀式ですが、現在の葬儀では葬儀式と告別式が一連の流れで行われるため、内容に違いがあることを知らない方が多いと思います。
結論からいうと「葬儀式」は宗教儀礼、「告別式」は故人に別れを告げるための式典です。葬儀式では僧侶が読経などの宗教儀礼を行い、告別式では喪主挨拶、弔辞、弔電披露、最後のお別れなどを行います。
では、なぜ葬儀を行う際に、宗教儀礼である「葬儀式」と「告別式」を行うようになったのでしょうか。
日本のお葬式ではもともと葬儀式のみを行うことが一般的でした。告別式は、1901年に亡くなった、政治家の中江兆民(なかえちょうみん)の葬儀ではじめて行われたといわれています。癌を煩い余命宣告を受けた中江兆民は自身の葬儀について、宗教儀礼を行わずに、火葬のみとすることを希望しました。その後兆民が亡くなり、故人の希望を考慮した遺族が、宗教性のない儀式を行ったことがはじまりだといわれています。
通夜とは?
葬儀・告別式の前夜に行われる儀式を通夜といいます。もともとは、家族や親族など故人と近い関係にある人々が、故人を夜通し見守ることを「通夜」と呼んでいましたが、現在は2〜3時間ほどで終了する「半通夜」が主流となり、この半通夜を指して「通夜」と呼ぶことが一般的となっています。
通夜についての詳細は「お通夜の流れや意味、服装や香典マナーを解説」をご覧ください。
葬儀式とは?
葬儀式は、通夜翌日に行われる宗教儀礼です。日本で多く行われている仏式葬儀を例にあげると、僧侶読経や引導(故人を彼岸に導くための儀式)がそれにあたります。葬儀式の所用時間は1時間程度です。ただし宗派によって内容が異なるため、所要時間にも違いがあります。
葬儀式・告別式の流れ
本来異なる意味合いを持つ葬儀式と告別式ですが、現在は一連の流れとして行われています。ここでは葬儀式・告別式を通した流れをご紹介します。
①受付開始
開式30分前から受付を開始します。9時開式の場合8時30分、10時開式の場合9時30分に受付を開始することが一般的です。
②式場内着席
開式10分前までに式場内に入り、着席します。
③開式/読経・引導
僧侶が入場します。司会者が開式の辞を述べた後、読経、引導となります。ただし、浄土真宗では引導を行いません。
④弔電・弔辞
弔電を紹介し、弔事を読み上げます。
弔事は故人へ贈る最後の言葉です。弔事を読む人に決まりはありませんが、故人の親友、同僚、上司、同級生、幼馴染などが読むことが多いようです。
⑤焼香
焼香には、「立礼焼香」「回し焼香」「座礼焼香」の3種類の形式があり、会場の大きさや参列人数に適した形式が選ばれます。広い会場では「立礼焼香」、小規模な会場では「回し焼香」、和室など床に座って行う葬儀では「座礼焼香」が行われることが一般的です。焼香は、喪主→遺族→親族→一般会葬者というように、故人と血縁や関係が近い順に行います。
⑥僧侶退場
読経を終えた僧侶が退場します。
⑦最後の対面
ご遺族が棺に花を手向けて最後のお別れをした後、お棺の蓋を閉じます。火葬が普及する以前は蓋に釘を打つ「釘打ち」が行われていましたが、現在では行わないことが一般的となっています。
⑧出棺
6〜8人で遺体の頭側を前にして棺を運びます。ただし、地域や宗派によっては足側を前にして運ぶ場合もあります。霊柩車や霊柩バスにお棺を乗せて、火葬場に向かって出発します。遺族や親族など、故人と血縁が近い人や関係性が深い人は火葬場まで同行し、その他の参列者は会場で見送ります。
※葬儀・告別式の流れは宗派により異なります。上記は一般的な葬儀式・告別式の流れです。
告別式を行う際に必要となる準備
葬儀は葬儀社に依頼することが一般的ですが、その場合も喪主が告別式のために用意をしなければいけないことがあります。葬儀・告別式の準備についてご紹介します。
①席数・席次・焼香順の決定
席数はおおよその数を予想して検討します。席次や焼香順は親族の中でトラブルに発展しやすい項目であるため、注意が必要となります。祭壇に一番近い席を上座として、故人と関係や血縁が近い順に座ります。席次には家族の風習や地域性も関係するため、事前に親族間で話し合うことをおすすめします。
②弔辞の順番の決定
弔辞を読んでいただく順番を決めます。年長の方や、故人とのお付き合いが長い方から順番に読むことが一般的です。
③弔電拝読について決める
弔電の数が少なければ全て紹介することが可能ですが、数が多い場合には読み上げる弔電を選ぶ必要があります。読み上げられない弔電は名前や肩書のみを紹介するか、「他多数の弔電をいただいております」などと紹介します。
④喪主挨拶を考える
葬儀終了時や出棺前に行う喪主挨拶を考えます。一般的に喪主挨拶では、故人との関係性や生前のエピソードを紹介するとともに、参列への謝意を述べます。
喪主挨拶文例
本日はお忙しいところ、父◯◯◯◯の葬儀にお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
父は3年前より肝臓を患い、長く闘病を続けてまいりましたが、◯月◯日◯時◯分に永眠いたしました。享年80歳でした。
私が子どもだった頃の父は仕事が忙しく、一緒に過ごす時間もあまりありませんでしたが、退職後は時間に余裕ができ、孫たちを可愛がってくれたことが印象に残っています。また、ここにお集まりいただいた親交の深い皆様方が、父と共に歩んでくださったことに、深く感謝いたします。
父同様、私たち遺族にも引き続きご厚誼賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。本日はごていねいなお見送りをいただきまして、ありがとうございました。
⑤火葬場に同行する範囲を確認する
火葬場には遺族や親族など故人と近しい間柄の方が同行することが一般的です。人数を把握し、移動手段や火葬場で摂る食事の数を確認しましょう。
⑥お布施を準備する
僧侶にお渡しするお布施を準備します。紙幣を白無地の封筒に納め、表書きは「お布施」または「御布施」とします。お寺以外の場所で葬儀を行う場合はお車代もご用意します。僧侶が葬儀後の会食を辞退される場合は、お膳料もご用意しましょう。
お布施の相場は地域、宗派、寺院によって異なります。お包みするべき額がわからない場合、葬儀を依頼する菩提寺にお尋ねください。
まとめ
・「告別式」は故人に別れを告げる式典で、宗教儀礼を行う「葬儀式」とは意味合いが異なります。
・現在は葬儀式と告別式が同じ流れの中で行われることが一般的です。