こんにちは。服部葬儀社 相談員の中道 剛です。
ほとんど公には出ることが少ない「孤独死」ですが、近年では社会問題となり、各自治体でも対策が急務との認識で対応を検討されているようです。
今回は葬儀社である私たち側から見た孤独死についてお話しをさせていただきます。
目次
●孤独死とは
孤独死(こどくし)とは、主に住居で一人暮らしを行っている方が誰にも看取られる事なく一人で亡くなることをさし、定義としては、「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」とされているようです。
行政などの公的機関では、「孤立死(こりつし)」という言葉を主に使用しているようです。その他、状況により「独居死(どっきょし)」と呼ばれることもあります。
●私の身近で起こった孤独死
事件としてニュースなどになる事が無い孤独死は今まで身近に感じることができませんでしたが、私の身近で起こり他人事ではないと痛感しました。その時のことを少しお話しします。
私の母の知人男性Aさん(83歳)は母と同じサークルの仲間で8年前に奥様に先立たれてその後は一人暮らしでした。私も数度顔を合わせた事もあり面識がありました。
その方が自宅で亡くなった状態で発見されたのは昨年12月28日でした。医師の検案で亡くなった日は12月15日とされていたそうです。つまり孤独死でした。
もともとAさんは、家事の一切を奥様に頼っており、お子さんもいませんでした。一人になってからの生活はというと、食事はご自分で作る事もなく毎日コンビニで食品を購入していたそうです。
月に数回連絡を取りあっていた親族はいたようですが、亡くなってから発見されるまでの間は、連絡を取り合っておりませんでした。ではなぜ発見されたのでしょうか?
実は毎日決まった時間に食品を買いに行っていたコンビニスタッフが通報してくれたそうです。
生前Aさんは冗談っぽく「ここに来なくなった時は死んでいるかもしれないから警察に連絡してね。」とコンビニスタッフに伝えていたそうです。実際に連絡をしていただいたそのスタッフには感謝いたします。
発見後、事件性の有無を調べるために警察に運ばれましたが、亡くなってから発見まで約二週間経過しさらに暖房の効いている部屋のため、腐敗が進み警察官からも変わり果てた顔は親族でも見ない方が良いと伝えられたくらいだったそうです。
近年町内や近所とのお付き合いが希薄になりつつある中で、特に高齢で一人暮らしの方にとってコミュニティーがいかに重要なのかを改めて知る事となりました。
●看取られることなく亡くなった場合
・警察による検視
孤独死のように誰にも看取られることなく亡くなった場合は、事件性の有無をしらべるための警察により「検視」を行なわなくてはならないためご遺体は警察官によって警察署へ移動されます。(警察の依頼を受けた大学病院などが検視を行う場合もあります)
(詳しくは「【警察からの連絡】突然の死亡連絡」をご覧ください。)
検視期間は、それぞれの警察署によって異なりますが、検視を行う医師がすぐにいない場合は数日以上かかる場合もあります。また、事件性の疑いがある場合は司法解剖となるため数週間から場合によっては数か月以上かかることもあります。
検視が終わり医師によって発行された「死亡診断書」ではなく「死体検案書」が渡されます。これらは死亡届と共に役所に提出して火葬許可証を発行してもらう事になります。
・ご遺体の帰宅
検視が終了して事件性が無いと判断された後は、遺族へご遺体の移動を許されます。この移動に関しては葬儀社が警察署から自宅または葬儀社の式場に移動します。
発見されるまで日数が経過している場合は腐敗が進み自宅でのご安置が難しい場合があります。このような場合などどのようにしたらよいか葬儀社と相談することをおすすめします。もちろん服部葬儀社ではご遺族の希望を伺い、状況を判断したうえでご遺族には最善のご提案を行っております。
ご安置後はどのようなお葬式するかを葬儀社と葬儀の打ち合わせを行います。
※搬送と自宅安置に関しては、服部葬儀社コラム「遺体の搬送と安置~自宅でのご安置~」をご参考にください。
●孤独死への今後の対策は?
子どもがいる世帯をはじめ、三世代世帯など世帯には様々な構成がありますが、厚生労働省の世帯構成の資料によると孤独死につながる可能性の高い単身世帯とその予備軍と考えられる夫婦のみ二人だけの世帯が年々増加し続けています。
単身世帯と夫婦二人だけの世帯を合わせた世帯数は2014年から過半数に達しました。そして2017年にはその割合が51%と2世帯の内1世帯以上は単身世帯もしくは夫婦二人だけの世帯になっており孤独死の可能性が高まってきているという状況です。
このような背景の中で孤独死に対する認識が深刻化され、各行政で対策が検討、実施されはじめてきました。
厚生労働省では「孤立死防止対策」として行っているようですが、「孤立死防止対策取組事例一覧」では実際に実施されている市区町村はごく一部の市町村に限られ、北海道では札幌市と旭川市の都市部に限られます。しかも札幌市においては高齢の方の対策ではなく、障がい者のみを対象にしていました。
コロナ禍の昨今、若い方でもコロナに感染したものの入院ができずに自宅待機を余儀なくされ、急変して亡くなるケースも少なくありません。もちろん単身の方は孤独死へとつながってしまいます。
先日放送されていた情報番組では、一人暮らしのコロナ禍対策ということで、体調が悪くなっても飲食ができるようにスポーツドリンクやミネラルウォーターと簡単に食事がとれるカップラーメンなど多めに備えておく必要があると伝えていました。
今後は町内会などの小規模なコミュニティー内での見守りをはじめ、新聞配達員や宅配便・郵便局・燃料配達員などの民間業者と自治体が連携していく必要があると考えられます。
まとめ
・孤独死(こどくし)の定義としては、「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」とされているようです。公的機関では、「孤立死(こりつし)」と呼ぶそうです。
・看取られることなく亡くなった場合は、ほとんどが警察署で検視を受けることになります。検視が終わるまで遺族に引き渡される事はありません。
・孤独死の可能性の高い単身世帯と夫婦二人のみの世帯は2014年を境に過半数を超え、現在も増え続けており対策が急がれています。
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